gakus2005-04-24



★LP『YES!』DO ME BAD THINGS

 ギターとベース、ドラムとボーカルが、いわゆるバンドの基本編成だが、これを大きく逸脱しているバンドがいると聞くと、音を聴いてみたくなるのは音楽好きのサガである。古くはボーカルとギター、打ちこみのCARTER USM、最近では20人以上のメンバーがいるPOLYPHONIC SPREE、ベースとドラムだけのDEATH FROM ABOVE 1979などがツボにハマッた代表例。このDO ME BAD THINGは9人の大所帯。そのうちボーカル専任のメンバーが5人いて、楽器を弾きながら歌う人を加えると7人がシンガーというイビツな構成。シャネルズよりもボーカリスト率が高い。

 肝心の音はというと、これが70年代風のハードロックで、ヘビーなギター・リフに時々泣きのソロが入る。そしてボーカリストたちは一斉に同じ音程を歌っている(しかもあまり上手ではない)という、酔っぱらいの集団カラオケ状態に近いノリ。そんな中、明らかに1人だけボーカリストとしての素養のある女性がいて、このお姉ちゃんが音程の高低差のあるフレーズをオペラチックに歌い上げる。野獣の雄たけびの間をぬうように歌ってる気持ちよさがミソ。コーラスのなっちゃいないQUEENみたいなもんだと思ってもらえれば、よいかと。このアンバランスさが斬新です。つーか、こんな編成自体、普通は考えないよな…。

 今のところ色物的色合いが強いけれど、この編成による芸が今後どう変わってくるのか気になるところ。なぜかイギリスではけっこう売れているらしい。