暗い水、明るい水
湿度の高いシーズンとはそろそろオサラバですが、11月には水分たっぷりの映画が2本公開される。
ひとつは鈴木光司原作の和製ホラー「仄暗い水の底から」をハリウッドでリメイクした「ダーク・ウォーター」。古いアパートに越してきた母娘が超常現象に見舞われるというストーリーで、舞台となるアパートは水漏れ全開、外に出ればやたらと雨降り。もう観てるだけで不快指数が上がる、天晴れなビジュアル構成、それだけで不気味である。ヒロイン、ジェニファー・コネリーは老けたなーと思わせるも、アップに耐えうる顔つきで、やはり美しい。
それはともかく、この映画ではピート・ポスルスウェイトふんするアパートの管理人の部屋から、エロビデオを観ているらしい音声が聞こえてきて、そのBGMにハモンド・オルガンがうねっている、ブッカーT風のグルーヴ・チューンが使われている。しかし、こんなジメジメした環境の中で耳にすると、“モッズっぽい”と思う以前に、なんだか淫靡な感じが先行してしまう。サントラだけ耳にすると“ソフトロック風でオシャレ〜”と思われるラス・メイヤー映画の音楽みたいなもので、この手の音楽は別の顔があるんだなあ、と再確認した。ちなみに、スコアの方はアンジェロ・バダラメンティで、やっぱり陰鬱。
もうひとつは「イントゥ・ザ・ブルー」で、こちらはカラッと明るい海洋サスペンス・アクション。ポール・ウォーカー&ジェシカ・アルバふんするバハマ在住のカップルが、友人のバカップルとバカンスを過ごそうとしたことから、海中のお宝&コカインの絡んだ大騒動に巻き込まれる。前半こそスポーティーな感覚でダイビング風景が展開するが、後半は人食いサメが暴れ出すわ、血なまぐさいバイオレンスはあるわ、ジェシカは(一瞬)ハミ乳するわと意外性満点の出来事が連続。それでもノーテンキにしか見えないのは南国の明るすぎる日差しのせいだろうか。
そんな映画だから、音楽はひたすらピーカン。リズムのシャキシャキしたロックからレゲエまで、太陽の下で鳴らすには気持ちのよいナンバーが続々登場。とくに前半、主人公たちがダイビングして魚と戯れる描写に、U2もどきのナンバー(奏者わからず…)が重なるシーンは、ミュージックビデオか丸井のCMかというぐらいの明るさでした。エンドクレジットでは再びジェシカが水着でサービスしてくれるダイビングシーンをフィーチャー。この場面にはジミー・クリフの『WONDERFUL WORLD, BEAUTIFUL PEOPLE』がかぶさる。
どちらも個人的に好きな音楽が使われているわけではないので、いずれの作品でも光っているヒロインに敬意を表しつつ、STONE ROSESのシングル『WATERFALL』のジャケを。映画とはまったく関係がないけれど、“SHE'S WATERFALL〜"つーことで…。
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