女賞金稼ぎ大暴れのテーマ

gakus2005-09-27

 トニー・スコット監督、キーラ・ナイトレイ主演の「ドミノ」は実在した女バウンティ・ハンター、ドミノ・ハーヴェイの実像に迫る人間ドラマ。ハーヴェイ自身が今年6月に世を去ったため公開が延びていたが、アメリカと同様に日本でも10月に日の目を見る。

 「影なき狙撃者」でアカデミー賞候補となった俳優ローレンス・ハーヴェイの娘であり、モデルとして活躍しながらも、刺激を求めて女賞金稼ぎとなるドミノ。華やかなスポットライトも、ビバリーヒルズの豪邸暮らしも大嫌いだったという彼女の自由を求める闘争が物語のキーとなり、もっとも危険な仕事であった1000万ドル強奪犯追跡の行方が彼女の生い立ちと平行して描かれる。トニー・スコットは「マイ・ボディガード」以上のカット割でスピード感を物語にあたえるのみならず、音楽と効果音を氾濫させている。「ナチュラル・ボーン・キラーズ」を見終えた後にも似た疲労は、そんな圧倒的な情報量のせいだろうか。

 数えたわけではないので正確な数はわからないが、使用楽曲の量はかなり多く、間奏が一瞬流れるだけというものもある(ドミノがショーの最中にぶつかってきたモデルに殴りかかるシーンのプロディジー『SMACK MY BITCH UP』等)。

 「マイ・ボディガード」ではタランティーノばりのバイオレンスを見せ付けたトニー・スコットだが、今回は片腕切断という70年代東映映画ばりの暴力描写(といっても、ここで使われるのは刀ではなく銃)がある。このシーンで流れるのがスリー・ドッグ・ナイトによるヒットで知られるランディ・ニューマン作の『MAMA TOLD ME NOT COME』で、ここで使われているのはおそらくトム・ジョーンズステレオフォニックスによるカバー。ビジュアル的に過激だが、耳からはブルージーでトボケた味のあるナンバーが飛び込んでくるミスマッチ。これがなかなかよい。この曲は後の銃撃戦でもフィーチャーされていたので、バイオレンスシーンのテーマ曲的な扱いといえるだろう。

 ジャケは2000年リリース、トム・ジョーンズステレオフォニックスによるこの曲のシングルCD。トム・ジョーンズステレオフォニックスというのも相当ミスマッチだが、何度も聴いるうちにクセになりました。

ドミノ [DVD]

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