ドリューに首ったけ

gakus2006-06-15

 ニック・ホーンビィ原作の『ぼくのプレミア・ライフ』の“イギリス、サッカー”という設定を、“アメリカ、野球”に置き換えた、ファレリー兄弟の「2番目のキス」が7月に漸く日本公開される。

 主人公は生徒に人気のある小学教師(「TAXI NY」のジミー・ファロン)で、彼はドリュー・バリモアふんするキャリアウーマンと恋に落ちる。ところが、ファロンはボストン・レッドソックスの熱狂的サポーターで、このときはシーズンオフだったから、ドリューもまだ彼の本性を知らずにいた。しかし春になりメジャーリーグが開幕するや、ファロンは球場に通い詰め。最初は付き合っていたドリューだったが、これが次第に重荷になり…。

 レッドソックスに愛情を注ぐあまり、自分の人生を見失っているファロンのダメ男っぷり、思い当たるフシがある人は少なくないと思う。これは野球に限ったことではなく、サムライブルーの応援に入れ込んでいる人にも当てはまるのでは。自分の場合はミュージシャンかな。まあそれが何であれ、自分の人生が見えなくなってしまうのは困りモノ。小学生の男の子はファロンに言う。“先生はレッドソックスを愛している。でも彼らは同じように先生を愛してくれるの?" そんなダメ男でもギリギリまで愛してくれるドリューがイイ。まあ、“都合のいい女”に見えないこともないので、女性には反感を買うかもしれないけれど…。

 ファレリー兄弟の他の作品と同様、今回も多彩なロック・セレクトが嬉しい。オープニングタイトルは、STANDELLSの『DIRTY WATER』がグルーヴィーに鳴っていて快調そのもの。大リーグという題材ゆえか、J. GEILS BANDをはじめアメリカンロックが多くフィーチャーされていた。エンドクレジットの最後は、「メリーに首ったけ」の語り部役でおなじみのジョナサン・リッチマン。毛色の異なるところでは、『華麗なるギャツビー』を気取ったパーティーのシーンでHUMAN LEAGUE『FASCINATION』がかかっていた。

 ジャケはアメリカン・ガレージロックの基本、STANDELLSの『DIRTY WATER』を収めた1966年の同名アルバム。ストーンズの19回目の神経衰弱もやってます。