おまえの母ちゃん×××
今年はジョン・レノン生誕70周年ということで、この先の音源リリースによる散財に不安を覚えているが、それはともかくタイムリーに公開されるのが『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(11月公開)。実母ジュリアとの交流を主軸にした、ジョンがミドル・ティーンだったころの物語。正直言ってトレーラーを見る限りではジョン役の役者に違和感があるし、ヌルい青春映画といった印象がぬぐえず、あまり期待していなかったのだが、見てみると意外な驚きがあった。
少年期のジョンは叔母ミミに育てられていたが、叔父の葬儀の際に実母ジュリアと出会うことになる。ジュリアは既に他の男と家庭を築いていたが、ジョンの訪問を歓迎する。口うるさい叔母に内緒で、何度も彼女の家を訪ねては交流を重ねるジョン。彼にはどうしても尋ねなければならないことがあった。なぜ、母は僕を捨てたのか…。
以下、映画の核心に触れるので、これから見るつもりの方はスルーして下さい。
最大の驚きは、この映画がジュリアをはっきりと“身持ちの悪い女”と言いきってしまっていること。ジョンの伝記本を色々読んでいれば、薄々“そうかなあ”と思わなくもないのだが、“そうだ”と断言したのは、この映画が初めてではないだろうか。なんたって、あのジョン・レノンの母親なのだから尻軽呼ばわりするのは誰でもためらわれるところだろう。しかし、これはひとつの視点として、ビートルズ・ファンには重要なことなのかもしれない。
たとえば、劇中でジュリアは“MAGGIE MAE”をジョンの前で、バンジョーで演奏して見せる。“MAGGIE MAE”はご存じのとおり、ビートルズ名義でジョンもレコーディングしたトラッド・ソングで、まさに“身持ちの悪い女”の歌。ジョンがこの曲をどんな気持ちで歌ったのかを考えると、また違う角度からビートルズの曲が聴けるのではないか。“RUN FOR YOUR LIFE”なんて、より殺気だって聞こえてきそうだ。
お行儀の良いビートルズのイメージとは裏腹に、残酷なまでに皮肉屋として知られているジョンである。この事実を受け入れることが、それに拍車をかけたと考えられなくもない。
ヨーコさんもこの映画を公認しているので、ここにはある種の真実があると思うが、さてどうでしょ。ちなみに、ジョンが葬儀でポールを殴るシーンについて、当のサー・マッカートニーは”ジョンが僕を殴ったことは一度もない”と不満を表明しているようです。
ジャケはJOHN LENNON、1998年にリリースされた4枚組BOX『ANTHOLOGY』。エンディングでフィーチャーされる“MOTHER”は『ジョンの魂』の方ではなく、こっちに収録されたバージョン。
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