血の日曜日

gakus2004-09-29

 昨日とりあげた「ボーン・スプレマシー」の監督ポール・グリーングラス出世作で、日本では劇場未公開のままビデオとなった「ブラディ・サンデー」を観る。

 1972年、北アイルランド公民権運動のデモ隊に英国軍が発砲し、13名の死者を出した、いわゆる“血の日曜日事件”の映画化。運動を牽引する議員、血気盛んな若者たち、地元警察、英国軍など、それぞれの1日の動きを交錯させ、徹底したドキュメンタリー・タッチで描いている。音楽はナシ。カメラは全編手持ち。「ボーン・スプレマシー」で状況を無駄なく連ねて、ドラマを構築していたグリーングラス監督だが、その手腕は本作のソリッドな作りにも通じるものがある。

 武装した英国の部隊の挑発的な姿勢に、デモに参加していた若者たちがキレだし、投石を開始。部隊は、そこで突如発砲を開始し、若者はおろか老人、市職員も犠牲になる。多くの市民は、石以外の武器は持っていなかった。無抵抗の者が射殺された。攻撃を終えた兵士が興奮して仲間に言う“アドレナリンがあふれ出てるぜ"。

 U2のアルバム『WAR』(写真)に収録された『SUNDAY BLOODY SUNDAY』で、この事件を知った人は少なくないと思うが、自分もその一人。映画のエンディングで、この曲がライブ・バージョンでフィーチャーされている。エンドクレジットが終わり、画面が黒一色になっても、この曲は流れ続け、結局曲の終わりまで流れる。黒一色の画面が3分以上は続いただろうか。

 なぜ今“血の日曜日事件"なのか。エンドクレジットの『SUNDAY BLOODY SUNDAY』の冒頭にはボーカリスト、ボノのMCも、そのまま使われている。“いつか、この歌を歌わずに済む日がくるように"…しかし“血の日曜日"と同様の事件は世界中で起こっている。この曲をボノが歌い始めた20年前から、現在に至るまで。


ブラディ・サンデー スペシャル・エディション [DVD]

ブラディ・サンデー スペシャル・エディション [DVD]