レディオ・ガガ

gakus2005-02-12

 昨秋の劇場公開時に見逃していた「僕はラジオ」(3月2日ビデオ発売)を観る。

 ハイスクールのアメフト・コーチ(エド・ハリス)と知的障害を持つ黒人青年(キューバ・グッディングJr.)の交流を、実話に基づいて描いた物語。青年に何か生きる目的をあたえようと、コーチは彼に練習の助手をさせるが、それが街に思わぬ波紋を広げることになる…。コーチの行動に対しては異論もあるだろうが、“正しい(と信じた)ことをする"のが、いかに難しいかを描いた作品としては一本筋が通っていると思う。

 ラジオとは青年のあだ名で、いつもトランジスタラジオを持ち歩いて、お気に入りのブラック・ミュージック専門局をかけっばなしにしている。時代は1970年代半ば、ディスコ・ブームのちょっと前。アイズレー・ブラザースやスピナーズ、アル・グリーンなど、当時一世を風靡したソウル・グループがAM音声を通して流れてきて、時代の空気と地方都市ののどかさにしっかりと寄り添う。MTVのない時代の、ラジオの最後の幸福期を見たような気がした。

 ジャケはスティービー・ワンダー、1971年のアルバム『MUSIC OF MY MIND』。ここに収録された『SUPERWOMAN(WHERE WERE YOU WHEN I NEED YOU)』は、コーチが青年に初めて声をかけたとき、青年のラジオから流れてくる。スティービーのナンバーでは他に、バスケットの試合のシーンで『WE CAN WORK IT OUT』(ビートルズのカバー)が使われている。