硬派ボンド

gakus2006-11-20

 ジェームズ・ボンド・シリーズ第21作となる「007/カジノ・ロワイヤル」(12月公開)はシリーズの中でも異色の作品。展開は「女王陛下の007」とチョイ似ているが、よりハードボイルドな雰囲気で、前作までの軽妙さはない。このシリーズは荒唐無稽になりすぎるとボンド俳優の変更とともにリアリティ路線に軌道修正する傾向があるが、今回の路線変更はこれまでになくストイックに行なわれたのではないだろうか。

 原作は一度パロディとして映画化されているイアン・フレミングのオリジナル小説で、殺しのライセンスを取得する以前、すなわちもっとも若い時代のジェームズ・ボンドが描かれている。この“若さ”がキーで、恐れもないが経験もなく、笑顔の余裕もないボンドの未熟さが味。そういうキャラクターだから、新ボンド俳優ダニエル・クレイグの起用は意外にハマっています。

 さて、今回の主題歌。元SOUDGARDEN、現AUDIOSLAVEクリス・コーネルが手がけているのたが、ボンド作品主題歌特有のスタンダード風のメロディ&アレンジに男臭いボーカルがミスマッチして不思議な味がある。この人のボーカル、今回の若年ボンドのキャラターにマッチしているのは確かなんだけど、いつもながらのスタイリッシュなオープニング・タイトルには合っていないような。でも、ここ何作か続いていた明らかにミスマッチな主題歌よりはましかなあ…。GARBAGEもSHERYL CROWも好きなアーティストだけど、ボンド映画の主題歌としてはイマイチと感じたのは、ここで何度か記したとおり。

 ジャケは第12作目『007/ユア・アイズ・オンリー』、SHEENA EASTONによる主題歌の国内盤7インチ、1981年リリース。シーナ・イーストンはシリーズで唯一、主題歌とともにオープニング・タイトルに現われたシンガーですが、今は亡き名タイトル・デザイナーのモーリス・ビンダーは彼女の美しさに惚れこんで起用したとのこと。