自意識を描く
『ロスト・イン・トランスレーション』以来となるソフィア・コッポラの新作ということで、サブカル系雑誌に気持ち悪いほどプッシュされそうな『マリー・アントワネット』(1月公開)。フランス王朝最後のプリンセス、マリー・アントワネットを18世紀のセレブに見立てたお話は、人気映画監督の娘として生まれたときから注目を集める存在だったソフィアの自己弁護に見えなくもない。
そういう意味では、ある種、自意識の塊のような映画にも思えるんだけど、音楽がそう感じさせる部分も少なからずある。ニューウェーブ系の音楽を起用するのは見る前からインフォメーションされていたので、はたしてコスチューム・プレイにどんなふうに使われるのか気になってはいたが、『ロック・ユー!』的に劇中の音として使用されていたのは仮面舞踏会のシーンで流れるSIOUXSIE & THE BANSHEES『HONG KONG GARDEN』ぐらいだったと思う。が、これとエンディングのTHE CURE「ALL CATS ARE GREY」のせいで、妙にゴスの印象が強い。他に誕生パーティーのシーンで延々とフィーチャーされるNEW ORDER『CEREMONY』、マリーの浮気のシーンで流れるADAM & THE ANTS「KINGS OFTHE WILD FLONTIERS」など、80'Sゴス・ファンが好みそうな非ゴス・バンドの歌も聞こえてくる。当時のゴス・バンドは自意識を歪んだサウンドで表現したバンドが多かったので、なんとなくかぶっちゃうのです。
サントラのメンツを知ったときは『ロスト・イン・トランスレーション』のような軽さがあるのかな、と想像していたのだが、その楽曲の使われ方としては意外に重め。少なくともあまりオシャレ感はないと思うんだけど、きっとまたそういう取り上げ方をされるんだろうなあ。ジャケもエロカワだし。
コレ、イメージカットだと思っていたら、実際の映画のワン・シーンだったのでビックリ。やるなあ、キルスティン。
ジャケはTHE CURE、1981年リリース、「ALL CATS ARE GREY」を収録した4枚目のアルバム『FAITH』。
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