彼女のマスターピース

gakus2007-03-28

 アカデミー主演女優賞(ジュディ・デンチ)&助演女優賞ケイト・ブランシェット)にノミネートされ、話題となった『あるスキャンダルの覚え書き』(6月公開)。マジメな映画かと思いきや、意外にもしっかりスリラーしております。

 ジュディ・デンチがふんするのは孤独が長過ぎてすっかり皮肉屋のヒネクレ者となった高校の女教師。そんな彼女が30代・子持ちの新任美術教師(ケイト・ブランシェット)と出会い友情を育むも、ケイトが教え子と不倫関係にあることを知って裏切られたような気分になり、この事実をエサにして彼女を支配しようと試みる。ストーカー的な心理をリアルに伝える映画で、最初はウルサいなあと思っていたスコアもショック演出の一環と思えば納得。悪意に満ちたエンターテインメントでした。

 さて、ケイトが自分の子供ほど歳の離れた教え子と関係を持つのだが、自宅の物置小屋で情事を終えた後、相手の少年は部屋のレコードを見つけて“これ、イイの?”とケイトに尋ねる。それが→画像のスージー&ザ・バンシーズ『KALEIDOSCOPE』。ケイトの答えは“マスターピースよ、スージー・スーに憧れていたわ”。NW全盛期に多感な時期を過ごした世代がが今のイギリス社会を動かしているんだなあ、と実感させる発言。当時EXPLOITEDのファンだった人も今はちゃんと税金払ってるんだろうなあ…。そういえば、マイク・リーの『キャリア・ガールズ』のヒロインはその昔、THE CUREのファンだった、という設定だったことをふと思い出した。ゴス少女も大人になるんですな。

 ちなみにこの男の子はTHE STREETSのファン。ケイトの娘も聴いている、とセリフで語られる。THE STREETSも何十年かしたら、この世代のマスターピースになるのだろうか。

 SIOUXSIE AND THE BANSHEESの曲は、このアルバムからではないが劇中で『DIZZY』が聴ける。