いかがわしさ濃厚

gakus2007-07-04

 クエンティン・タランティーノロバート・ロドリゲスエクスプロイテーション・ムービー2本立てを意識して共作した『グラインド・ハウス』。全米ではタラ編とロドリゲス編を2本併せて公開したが、アメリカ以外の国では別々に公開になるとか。日本でも、先にタランティーノ編『デス・プルーフ』、続いてロドリゲス編『プラネット・テラー』が公開されます。で、今日は先発の『デス・プルーフinグラインド・ハウス』の話。

 “スラッシャー映画を目指した"というタランティーノの言葉も納得がいくものの、そんな単純なものではなく、ここでの殺人鬼の手段は車。カート・ラッセルふんするカー・スタントマンが殺人鬼で、この男、車で轢くのではなく、助手席に乗せてメチャクチャな運転をして、相手を血まみれにさせてしまう。さらに、スラッシャー的要素は前半だけで、後半はひと言で言うとファスター・プッシーキャットがバニシング・ポイントしてしまう、破綻を恐れぬ豪快な展開。これでは意味がわからないかもしれないけれど、察してくだされば幸いです。

 で、音楽ネタは豊富すぎて、まずどれを取り上げていいものやら、という感じなんだけど、一番ビックリしたのは、前半の殺戮が終わって舞台が14か月後のテモシー州に変わり(この時映像が急にモノクロになる)、カートのカーラジオから流れてきたWILLY DE VILLE「IT'S SO EASY」。これは監督ウィリアム・フリードキンアル・パチーノ主演の1980年の映画『クルージング』に提供された、ムチャクチャかっこいいロガビリー・パンク風のナンバー。『クルージング』はパチーノふんする警官が殺人事件を追ってハードゲイのクラブに潜入して、ゲイのフリをしているうちに…という風俗サスペンス。今じゃあ子供でさえハードゲイという言葉をサラッと言ってるけれど、当時田舎の中学生だった自分には刺激が強すぎた覚えがある。フリードキン作品で言うなら『エクソシスト』以上だったかも。なので、この曲が流れた瞬間トラウマ・スイッチがオンになってしまい、ただでさえいかがわしい映画が余計にそう思えた。

 ジャケはとりあえず、この曲を収めた『クルージング』のサントラ盤。このアルバムは発売当時、LAパンクの伝説、GERMSの未発表曲が入っていたことからソコソコ話題になった。GERMSのその曲は、彼らのアンソロジー盤に収録されているけれど、このサントラはサントラでCD化してほしい。ついでに『クルージング』もDVD化してほしいぞ。

 ちなみに、4月8日のエントリーでふれたAPRIL MARCH『CHICK HABIT』はエンドクレジットでのフィーチャー。曲が短すぎたのか、途中でフランス語バージョンを繋いでいる。