僕の歌は君の歌

gakus2007-10-30

 気づけばもう今週末に公開が迫っていた『once ダブリンの街角で』。男女の出会いと心の通い合いを、誇張のないリアルなタッチで描いた作品で、わざとらしくないぶん余計に心にしみる。

 主人公はダブリンの路上で歌っているストリート・シンガー。東欧移民のシングルマザーと知り合った彼は、彼女のピアノの才能に注目して曲作りを手伝ってもらう。で、その過程で、彼らは理解を深めてゆく。主人公はこの後、夢を追ってロンドンに出かけるつもりで、その前にデモテープを完成させようと、ヒロインや、路上演奏バンドに手伝ってもらいレコーディングに入る。その模様が一応のクライマックスとなるんだけど、音楽の魅力的な響きも手伝い、引き込まれます。

 主人公が歌うほとんどの曲は、演じているグレン・ハンサードのオリジナル曲。このグレン・ハンサードは、アイルランドでは人気のあるTHE FRAMESなるバンドのフロントマンであるらしい。『ザ・コミットメンツ』にはギタリスト役で出演していた。

 主人公が路上で歌う歌は、夜はオリジナル曲、昼はウケのいい有名な曲…設定。で、冒頭、真昼間の通りで歌っているのが、VAN MORRISONの“AND THE HEALING HAS BEGUN”。シングル・ヒットした曲でも何でもないと思っていたが、ヴァン・モリソンはやはりアイルランドでは扱いが違うのかも。かの地の英雄という点では、レコーディングを手伝う路上演奏バンドが“俺たちはTHIN LIZZYの曲しかやらない”と言っているのがおかしかった。

 ジャケはVAN MORRISON、1979年のアルバムで“AND THE HEALING HAS BEGUN”を収めた『INTO THE MUSIC』。