お気楽セレクトの効

gakus2008-03-25

 昨日に続き、今日もちょっとノーテンキな選曲の話。トム・ハンクスジュリア・ロバーツの共演が話題の『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』(5月公開)について。

 1980年代に実在した米下院議員チャーリー・ウィルソン(ハンクス)の、アフガン情勢に対する型破りな行動を描いた物語。ソ連侵攻下のアフガンの現実を目の当たりにした彼は、難民を救おうと大胆な手段に出るが…。社会派映画の重みを後味として残す。ある程度、当時のアフガン情勢を頭に入れておいて見た方がベター。

 とはいえ、まったくお堅い映画ではなく、美人秘書軍団(その名も“チャーリーズ・エンジェル”!)をはべらせたり、ジュリアふんする富豪夫人と不倫したりと、よく言えば豪放な、悪く言えばいい加減なチャーリーのキャラが押し出され、物語そのもののノリは楽しい。そんな人物でさえ世界を変えられなかった…という現実が哀愁を感じさせるのだが。とにかく、主人公のキャラに合わせたのかお気楽なナンバーが多く、バリー・ホワイトフィリー・ソウル風のナンバーやら、ドナ・サマーのディスコ・ソングやら、デビッド・ボウイの“LET'S DANCE"やら、バカ売れしたわかりやすいナンバーが次々と聞こえてくる。チャーリーの愛人がジュース・ニュートンの大ヒット曲“ANGEL IN THE MORNING"をオーディオから流れてくる曲に併せてあっけらかんと歌っていたり。重くなり勝ちな題材を軽くする上で、これらの選曲は文句なしに効果を発揮している。

 ジャケはJUICE NEWTON、“ANGEL IN THE MORNING"を収録した1981年のアルバム『JUICE』。ちょうど自分が洋楽を聴き始めた時期に、アメリカで流行っていたアルバム。今思うと、なぜこのアルバムがバカ売れしたのか……不思議な気がする。