凍りつく

gakus2008-08-16

 劇場公開時に見逃していたイギリス映画『フローズン・タイム』をDVDで観賞。新しい才能の出現を実感させる好編でありました。

 失恋したショックから不眠症に陥った美大生が、有り余った時間を利用してスーパーでバイトを始める。そこで彼は時間を止める才能があることに気づき、静止状態の中でデッサンを重ね、やがてそのモデルとなった女性店員に恋するようになるが…。静止映像の中で主人公だけが動き回る映像の面白さ、虚弱体質風の主人公を筆頭にイタズラ魔やスタント・オタク、カンフー・マニアなどのキャラクターのヒネッた描写など、センスの良さを随所に感じる。ロマンチックなドラマにまとめ上げている点もソツがなく、ショーン・エリスという監督、ただ者ではなさそうだ。

 音楽は知らない曲が多かったが、懐かしい曲が聴けた。主人公が元カノにキスされた現場を目撃し、怒って帰宅しようとするヒロイン。それに気づいた主人公が時間を止めて彼女を追いかける、そのシーンでFRNKIE GOES TO HOLLYWOOD“THE POWER OF LOVE”が流れる。”時間を止められても戻すことはできない”という主人公の独白に、このメロドラマチックなナンバーが重なり、切なさもひとしお…という寸法だ。この曲、大袈裟すぎるアレンジが好きではなかったのだが、このように映画のピースとして聴くと効果的に響き、まさしく凍りつくような緊張感を醸し出す。

 ジャケはそのシングル、UK盤。1984年暮れの全英ナンバーワンヒット・ソング。

リターン・トゥ・ザ・プレジャー・ドーム(DVD付)

リターン・トゥ・ザ・プレジャー・ドーム(DVD付)