一塊の肉塊なり

gakus2010-02-03

 ウォシャウスキー兄弟が『スピード・レーサー』のRain(ピ)を主演に据え、『V・フォー・ヴェンデッタ』のジェームズ・マクティーグに監督させたマーシャルアーツ・アクション『ニンジャ・アサシン』(3月公開)が、凄いことになっている!

 Rainふんする主人公は、日本伝統の暗殺者組織=ニンジャの非道さに嫌気が差して抜け忍となった凄腕の戦士。組織に捜査の手を伸ばしていた女性捜査官が命を狙われ、これを助けたことから、主人公は組織と因縁の対決に臨むことになる……なんてストーリーはあってなきがごとしで、とんでもないアクションの連続。何がとんでもないって、人体切断描写の連続で、血糊の量はそこらへんのスプラッター以上なのだ。ホラー専門プロダクションのダーク・キャッスルが製作に絡んでおり、冒頭でいきなり顔面がスライスされた瞬間、”おおっ、『ゴーストシップ』!”と思ったが、地獄絵図はその後も続き、『椿三十郎』(もちろん黒澤版の方)のクライマックスのような血液プシュー!のオンパレード。個人的には楽しめたが、Rain目当ての女性ファンがドン引きすること間違いなしだ。おそらくPG(下手すりゃ、R)の指定が付くと思う。

 主要舞台がベルリンなので、デビッド・ボウイのベルリン・レコーディング期の代表的ナンバー”HEROES”がコインランドリーのシーンで聞こえてきて、オッ!と思った。かなり小さな音なので気付かなかったが、これがドイツ語バージョンという手の込みよう。

 さらにエンドクレジットではヒューマン・リーグ"BEING BOILED"が聴こえてくる。ニューウェーブ期ならではの曲調からしてベルリン風で不気味だが、復讐や殺人、宗教を含んだ歌詞は、このウルトラ・バイオレンス映画にはフィットしています。マクティーグは『V・フォー・ヴェンデッタ』でのストーンズ"STREET FIGHTING MAN"を持ってきたエンディングも印象深かったが、今回もセンスを感じる。

 ジャケはHUMAN LEAGUE、"BEING BOILED"を収めた1980年のアルバム『TRAVELOGUE』。

 おまけ↓"HEROES"ドイツ語バージョン。Hさま、情報提供感謝です。