ランボーなファンタジー

gakus2010-10-07

 来週には『エクスペンダブルズ』が公開されるシルベスター・スタローンだが、来月にはある意味彼へのオマージュといえる英国製キッズ・ムービー『リトル・ランボーズ』が封切られる。

 主人公は厳格なキリスト教宗派を信仰する家庭に育ち、娯楽を禁じられている幼い少年。窃盗の常習犯である不良の同校生徒と知り合い、この少年が映画館で盗み撮りした『ランボー』のビデオを見たことで、主人公の人生は一変する。ランボーに憧れを抱いた彼は、不良少年のビデオカメラで”ランボーの息子”という映画を撮ろうと決意。撮影をとおして本来なら親しくなるはずのない、この不良少年と絆を育んでいくのだが…。少年期の無垢な友情を描いた、しみじみとした、ちょっとイイ映画で、子どものころの想像力の豊かさを伝える点も妙味。欲を言えばもうワンパンチ欲しいところで、題材が題材だから弾けようと思えば弾けられたはず。

 登場する生徒たちの服装やヘアスタイルで時代背景が80年代であることがわかる。で、かかる曲もその時代の曲ばかり。『ハリー・ポッター』のホグワーツにもしばし登場するが、イギリスの学校には生徒の談話室があり、それが本作にも登場するのだか、壁にはデュラン・デュランやアダム・アントなど80年代前半のアイドルのピンナップが飾られている。ここでかかっている曲も当時のヒット曲でDURAN DURAN”WILD BOYS"やSIOUXSIE & THE BANSHEES"PEEK-A-BOO"、DEPECHE MODE"JUST CAN'T GET ENOUGH"などなど。当時を知る人間ならノスタルジックな気分に浸れると思う。

 この後、不良少年がTVを見ているシーンで、本作の時代背景が1980年であると特定される。先述の曲はすべてその後にリリースされた曲で、時代考証はかなりいい加減。そもそも、『ランボー』自体'82年の映画だ。とはいえ、ファンタジーとして受け止めれば、これはこれでアリかな、とも思えてくる。

 ジャケはTHE CURE、1985年リリースのUK盤シングル『CLOSE TO ME』。曲名や遊び心にあふれたアレジンは映画の内容にふさわしい気もするが、実はこの曲、ロバート・スミスが会いたくない知人に会ってしまったときの脅迫観念を歌にしたのだとか。

↑ここで流れるDAVID BOWIE”REBEL REBEL"は残念ながら劇中では聴けません。

リトル・ランボーズ [DVD]

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