X-MENは元祖MODSだった!?
今週末より公開される『X−MEN ファースト・ジェネレーション』は、これまでの『X−MEN』シリーズの前日談的な物語。後の善のミュータント集団”X−MEN”のリーダー、プロェッサーXことチャールズと、悪のミュータント集団ブラザーフッドの首領マグニートーことエリックの、若き日の友情からその決裂までが描かれる。
『X−MEN』一作目と同様に、本作の幕開けはナチスのユダヤ人収容所に入れられていたエリック少年が、母親と引き離されたことで、図らずも特異な能力を発揮するシークエンス。それに目を付けたナチスの科学者(ケビン・ベーコン)は、エリックを人体実験に利用。約20年後の1962年、エリックはその時の復讐を果たすべくベーコンに立ち向かおうとするが、ベーコンも凄まじいパワーを持ったミュータントで、現状では歯が立たない。そこで彼は、CIAの極秘機関内でミュータントを結束させようとしていたチャールズとタッグを組むことになる…。
ファンなら知っておきたいエピソードが盛りだくさんで、髪の毛がある時期のプロフェッサーXが見られることはもちろん、ミスティークがチャールズの側を離れてエリックの元に向かった理由や、チャールズの他のミュータントとの交信機=セレブロの誕生秘話、マグニートーが後にかぶるヘルメットの由来、プロフェッサーXが車椅子生活を送ることなった経緯などが明かされる。とはいえマニアックなファンのためだけの作品ではなく、チャールズとエリックの対立の背景に”もし本当にミュータントがこの世に存在したら、人間はどういう態度をとるか?”という考察がなされている。すなわち、”社会は異端を受け入れるのか?”というクエッションで、理想主義的なチャールズはイエスと答え、現実主義のエリックはノーと言う。どっちに賛同するのか、見る者に考えることをうながすという意味では、全米でのシリーズ最高傑作との評価も納得がいく。
ヘビーなテーマは見た方の考えに任せるとして、ライトかつオタクな音楽ネタ。自分がつい吹き出してしまったのは、CIAの極秘機関にかくまわれた若いミュータントたちが、ブッカー・T&ザ・MG's”グリーン・オニオン”に併せて踊り狂っているシーン。聞けば、監督のマシュー・ヴォーンは、ショーン・コネリー時代の『007』を意識して本作を作ったとのこと。1962年はモッズ全盛期にはちょっと早いが、”グリーン・オニオン”はモッズの聖典的なナンバーとなり、当時のモッズがスパイ映画を好んでいた事実と符号することを踏まえると、この若いミュータントたちは、モッズの先駆けだったのではないかと、微笑ましく思えてしまう。ロンドンから遠く離れて、そんなブームの訪れを感じ取っていたとは、さすがミュータンドだ!
名曲"GREEN ONION"は他の映画でもさんざん使用され、このブログでも頻繁に書いてきた……ので、『GREEN ONION』オリジナル盤のジャケは避け、代わりにBOOKER T.&THE MG'Sの比較的最近のベスト盤、『THE VERY BEST OF BOOKER T. AND THE MG'S 』(2007年リリース)をば。
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