ロスト・イン・トランスレーション
映画を観ていると、自分の好きな曲が使用され、それが効果的だったりすると、ゾクゾクするものです。そんな奇跡的な瞬間について、ダラダラと書いていこうかな、と思った次第。
「ロスト・イン・トランスレーション」。以下ネタバレあります。
日本を舞台に、アメリカからやってきた中年俳優と、若妻の出会いと別れをサラリと描いた好編。ソフィア・コッポラ監督の前作「ヴァージン・スーサイド」は、ガーリィとか言われてるだけあって、野郎的には肌に合わなかったけれど、こっちは押しつけがましさがないし、分別のある終わり方。好意的に観ることができました。
音楽面では注目点も多く、サントラではマイブラのケビン・シールズの新曲が聴けるなど収穫が多かったが、映画では、とりわけカラオケBOXのシーンが、いろいろ楽しませてくれた。ロックパイルの『PEACE, LOVE & UNDERSTANDING』が入ってるカラオケ屋なんてなねーよ!とツッコンでみたり、日本人がセックス・ピストルズを歌うとダッセーなあ、と反省したり(小生、これに関しては前科二犯…)。
しかし、やっぱりエンディング、ジーザス&メリーチェインの『Just Like Honey』につきる! これが雨の東京の風景によく合うんです。叙情的といえば言いすぎかもしれないけれど。この曲を収録したJ&MCのファーストアルバム『PSYCHOCANDY』は、18年前に初めて訊いたとき“レコードプレイヤーが壊れたんじゃないか?”と思うぐらいフィードバックノイズが前面に出ていて、うるさくて衝撃的だった。そう、“衝撃”だったのだ。そんなアルバムから、この曲をチョイスして、切なさを抽出した選曲者(ソフィア・コッポラか?)の判断は技ありだ。このアルバムを聴く耳が変わるな、きっと。
映画もサントラもヒットしていると聞くが、その余波で何も知らない渋谷好きの方が、オシャレなBGMとカン違いして『PSYCHOCANDY』を買う可能性を思うと、ちょっと面白い。
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