デイ・アフター・トゥモロー

gakus2004-05-20

 地球温暖化の果てを描いた、今夏の話題作のひとつ「デイ・アフター・トゥモロー」を観賞。

 「インデペンデンス・デイ」「GODZILLA」のローランド・エメリッヒ監督だから型破りなスペクタクルを見せてくれるだろうと思いきや、予想外に常識的な作りに収まっていた。確かに津波&竜巻、氷河期の描写とVFX的には十分見せるけれど、展開的な部分で、とんでもなく強引なことをやってくれると思っていたのに。地球の地軸を移動させて、合衆国を南半球に持ってくるぐらいの大暴走があれば、SFスペクタクルならではのツッコミ甲斐もあるのに…。しかし、ドラマは堅実に、親子の愛情に走る。そういえば、エメリッヒは「パトリオット」の監督でもあった。スペクタクル映画とはいえ、今回はそっちの色合いの方が強い。もっとも、人の親としてはそこにジーンときたりもするんですけどね…。

 本作に起用されている既成のロックナンバーは一曲のみだが、これだけはツッコまずにいられない。カルチャー・クラブの『DO YOU REALLY WANT TO HURT ME(邦題:「君は完璧さ」』。問題は、これが今どきの高校生が集るパーティー会場でかかることだ。高校生なんだから、時流に乗った“イケてる”曲で盛り上がるのがスジ。懐メロを、ああいう場で流すのは不自然に思える。この曲がヒットしていたころ、コイツらまだ生まれてねーじゃん! 『フォーチュン・クッキー』のようにガレージロックで盛り上がれとは言わないが、他に何かあるだろ! いくら80年代ヒット曲のコンピレーションCDが売れているとはいえ、主要購買層は当時“レコードで”あの歌を聴いていた30代の人間であり、ノスタルジーなど覚えるはずもない今どきの高校生が好んで聴くとは到底思えない。

 しかし、パーティー会場にいる主役級の俳優ジェイク・ギレンホールは“この映画は現実的だ”と語っている。この発言を信じるなら、次の仮説のいずれかが正しいはずだ。
1.NYのエリート高校生にはカルチャー・クラブが“イケている”。
2.NYのエリート高校生の間ではエイティーズが“キテいる”。
3.DJは、生徒の中の誰かの親父。
4.有線放送を流していた。
なんだか考えるのがバカらしくなってきた…。

 それはさておき、この曲が流行っていたころ実際に高校生だった私は、けっこうカルチャー・クラブが好きだったりする。これを収めたファーストアルバムも、モータウンサウンド等のブラックミュージックをポップに消化してた好盤で、今聴き直してもノスタルジー以外の部分をくすぐられたり。そうか、あのパーティーのDJもロック・オタクか…。