シュレック2

gakus2004-06-11

 現在全米で大ヒット中の「シュレック2」のお話。

 前作でフィオナ姫と結ばれた沼地の怪物シュレックが、姫の両親の祝福を受けるため、ふたりで城へと向かうことになる。しかし、王様はシュレックの醜い容姿に不満げ。シュレックシュレックで、“どうせ俺は怪物だから”とヒネクレる。そこにつけこみ、プリンス・チャーミングが、魔法薬の専門家である母親の後押しを受け、フィオナのハートを射止めようとする。

“メデタシ、メデタシ(=Happy ever after)”というディズニー的お決まりのパターンへの痛烈な風刺として、前作は語り草になったが、今回はある意味、それを超えたのでは…。ファンタジーそのものに加えて、それに毒されがちな人間の心理にも言及しているのだ。シンデレラ・コンプレックスというか、とかく若いうちは、とりわけ恋愛・結婚面において崇高な理想に固執し、Happy ever afterなものを求める。または、逆にシュレックのように、“どうせ私なんてさ…”と後向きになったり。どちらも現実がファンタジーに食われちゃっている。“そんなファンタジーは、もうたくさん!”と軽やかに言ってのけ、その基盤のうえに新次元のファンタジーを築いたのが「シュレック2」なのであります。

 ロック面では、やたらとカバーが多い。デビッド・ボウイの『CHANGES』の女性Vo..によるカバーは、魔法の薬による変身シーンで使われているけれど、このボーカル、けっこう苦しそう。実際、メロディーの高低差がある曲だから、カバーするのは疲れるのかも。もうひとつ気になったカバーが、バズコックス/BUZZCOKSの『EVER FALLEN IN LOVE』で、こっちはアコギの音がシャカシャカしていて、妙な爽快感がある。確か、薬を奪って逃亡するシーンのBGMだったと思う。誰のカバーだろう? こっちはかなり気になる。他にも、ボニー・タイラーの『HERO』が劇中キャラの歌として使われていたけれど、多くのヒット曲を生んだ映画「フットルース」サントラからのシングルカット曲の中で、(アメリカでは)もっともヒットしなかったナンバーを持ってくるあたりに、選曲者のヒネクレたセンスを感じる。

 あと、バー毒リンゴのシーンで、鉤爪のピアノ弾きが歌う曲として、トム・ウェイツ(この曲、ヴェンダースの「エンド・オブ・バイオレンス」のサントラ収録曲では!?)、ニック・ケイヴのナンバーが起用されていた。酔っ払いアーティストの代表格というべきふたり。アニメとはいえ大人向けです、いろんな意味で。

写真は『EVER FALLEN IN LOVE』収録、バズコックス1978年のセカンドアルバム『LOVE BITES』。「24アワー・パーティ・ピープル」での起用も記憶に新しいところ。