この夜にさよなら

gakus2004-07-08

 さっき友人かにのメールで知ったのだが、甲斐バンドのギタリストだった大森信和氏が亡くなったという。ニュース検索してみたけれど見つからず、本人のHPのBBSをみてみたら、確かに訃報が…。

 初めてロックのコンサートを見たのが甲斐バンドだった。当時田舎の高校生だった自分にとって、汽車(電車ではありません)に乗って県庁所在地まで出かけ、ライブを観る…なんてことは一大イベント。「デトロイト・ロック・シティ」でKISSを観るために車でデトロイまで行ったガキどもの、あの心境ですよ。会場は6分程度の入りで、かなり寂しかったが、客電が消えて、BGMが流れて、メンバーが姿を現わして…という一連の流れからくる背筋のゾクゾク感は今でも忘れられない。そして音がデカかった! 大森氏のギターはレコードで聴くよりも数倍のスケールでギャンギャン鳴っていた。その後3日ぐらい耳鳴りが止まなかったけど、気持ちよかった。それまで学校の成績はまあまあ良かったけど、このころから落ち始める。ロックにハマッたのは、このころだったな…。

 その後東京に出てきて、今まで数え切れないほどライブを観た。もちろん、この時以上に興奮したギグもあるし、J・マスシスやボブ・モールドのギターの音は、もっともっとデカかった。それでも、数年前に見たライブでも思い出せなかったりするけれど、20年以上もまえの、このときの記憶は鮮明だ。甲斐バンドはもうずいぶん聴いてないけれど、入り口をあたえてくれたことには感謝している。滅多に自分の過去をたどってみたりすることはないけれど、この悲報を知り、ついノスタルジックな気分になってしまった。

 写真は甲斐バンドの1977年のアルバム『この夜にさよなら』。いい曲だなあと思っていたタイトル曲がC.C.R.の『SOMEDAY NEVER COMES』のパクリやん!と気づいたのは、もう少し後のこと。さらに後になって世田谷に住み、かつてのヒーロー、甲斐よしひろがジャージ姿で犬の散歩をしているのを見かけて、微笑ましい気分になったことも。あのころから、ずいぶん遠くに来たなあ…。ともあれ、大森さんのご冥福をお祈りします。