ロックンロール・ジプシー

gakus2004-07-31

 昨日ルースターズのライブビデオ『EARLY LIVE』を見ていて、ふと映画「ロッカーズ」を思い出した。陣内孝則が、かつて在籍していたバンド、ロッカーズのデビュー前の逸話を自身の演出によって映像化した笑いと涙の青春劇で、昨年秋に劇場公開された。劇中のロッカーズのバンドサウンドをバックで奏でているのが、ロックンロール・ジプシーズ。すなわち、大江慎也を除くルースターズの面々である。当時“めんたいビート”と呼ばれていた博多バンドのつながりで。

 劇中のロッカーズは彼らの曲の他に、「どうしようもない恋の唄」「恋をしようよ」などのルースターズ・ナンバーをプレイする。当時の博多ではライバル・バンドのナンバーをカバーすることもあったのだろうか?

 映画公開時に陣内孝則に取材する機会を得たので、その辺の事情を尋ねてみたら、意外にあっけない答えが返ってきた。当時ロッカーズストーンズ等のロック・クラシックをコピーてしいた(これはルースターズも同様)が、それを劇中で使うとなると金がかかり、制作資金に響く。そこで別のカバーを…と、ルースターズの曲を借用したとのこと。もちろん、ジプシーズの起用は、ルースターズが当時からロッカーズと近い位置にいて、今でも友情を感じていることが理由だったという。

 このとき陣内さんから聞いた話は、めんたいビートが好きだった自分には、なかなか興味深いものがあった。ロッカーズ時代のケンカ話や、亡きギタリスト、谷信夫の思い出、そしてジプシーズとの、この映画でのコラボレーション。映画で描かれるとおりロッカーズは“MODSやルースターズより演奏が下手だったから、「速さ」で勝負する”バンドを目指すのだが、本編のクライマックスのバンド・バトルのシーンでは5分間で4曲を演奏するという荒技に挑む。これをジプシーズでレコーディングしたときには、さすがに寄る年波のせいか(?)メンバーも息が上がっていたとか。また、この映画の試写会場の楽屋に大江慎也フラリと現われ、病気とは思えないほど生き生きとした姿を見せてくれたのが嬉しかった…という、ちょっと泣かせる話も。

 取材をした1年前は、ルースターズが再びステージに立つなんて想像もしてなかった。ネットにアップされた写真で見たステージ上の大江慎也は多少太ったかな…という感じだが、確かに元気そうだ。そういえば、昨日フジロック遠征中の友人がルースターズのステージ終了後、現地から電話をくれた。電波の状態が悪く会話が成り立たなかったが、“最高だったよ!”という部分だけは、しっかり聞こえた。羨ましい…。

 写真はロックンロール・ジプシーズ、地元・九州でのライブ盤『WHO THE FUCK IS THE ROOSTER?』。『ROSIE』『ビールスカプセル』『SITTING ON THE FENCE』などのルースターズ時代のレパートリーを、大江ではなく花田裕之のボーカルで聴ける。


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