私の好きなイギリス映画 10

gakus2004-10-05

 昨日の日記で触れたTHE CLASH周辺の映像作家ドン・レッツの作品で、唯一日本で劇場公開されているのが、1978年製作の「パンクロック・ムービー」。タイトルどおり、当時一世を風靡したパンク・ムーブメントを追跡するドキュメンタリーです。

 1977年に期間限定でオープンしたロンドンのクラブ、ROXYに出演したバンドのパフォーマンスを中心に、若い世代の狂騒をとらえている。便所で注射針を腕に刺してるボンクラや、パンクスだから仕事をクビになったという安全ピンを口に通したお姉ちゃん、ユニオンジャック模様のスーツを羽織りクラブの前でピョンピョン飛び跳ねてる、POGUESとしてデビューする以前のシェーン・マクガワン(たぶんNIPS時代)、パンク・ショップを取り締まる警官、わざとカミソリで体に傷をつける少年…時代の空気が伝わってきます。

 バンド関連ではクラッシュはもちろん、セックス・ピストルズ/SEX PISTOLS、ジェネレーションX/GENERATION X、ジョニー・サンダース&ハードブレイカーズなどの有名どころから、イーター/EATER、スローター&ザ・ドッグス/SLAUGHTER & THE DOGS、X-レイ・スペックス/X-RAY SPEXなど短命に終わったバンドまでさまざまなバンドのライブ映像を収めている。どれも貴重な映像でありがたいのだが、音質が極度に悪いのがタマに傷。個人的には、パンク姉ちゃんへのインタビュー中にステージから聴こえてくるSAINTSの『STRANDED』のライブ映像が観たかったが…。

 正直なところドキュメンタリーとしての構成は粗雑で、興味のない人にはお勧めできないが、それでも当事者たちの視点で撮られているゆえの熱さは捨て難い。映画としての粗雑さも含めて、パンク的…ということで。

 写真はX-RAY SPEXが1978年に発表した唯一のアルバム『Germ Free Adolescents』。本編中でプレイされる代表曲『Oh Bondage! Up Yours』は当時のアナログ盤には収められていませんが、現行のCDには追加収録されているようです。

クワイエット・プリーズ~ザ・ニュー・ベスト・オブ・ニック・ロウ

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