性転換に失敗しなかったパンクス

gakus2004-10-06

 待望のTHE CLASH『LONDON CALLING:25TH ANIVERSARY EDITION』を購入。このアルバムはアナログでしか持っていなかったので、改めてCDで聴くと不思議な感じがする。アナログでは2枚組のアルバムも、CDではディスク一枚に収まってしまうから、レコードをひっくり返したり、変えたりしなくていいのは楽。それでも『GUNS OF BRIXTON』がフェイドアウトすると勝手に体が反応したり…。ディスク2のデモテイク集は涙モノですが、これはまた機会があれば触れようと思います。DVDディスクは多忙ゆえ、残念ながら今週中には観れそうにない。

 それとはもかく、昨日の日記に関連した話を。昨日記した「パンクロック・ムービー」には、ウェイン・カウンティ&ザ・エレクトリック・チェアーズというNY出身のバンドが出演している。このバンドのフロントマン、ウェイン・カウンティは『FUCK OFF』などの攻撃的な曲の一方で、メロウで切ないナンバーを書く、なかなかのメロディメイカー。さらに、この人、性転換したことでも知られている。もともとドラッグクィーン的なメイクをしてステージに上がっていたが、1980年に本当に男性から女性へ。名前もウェインからジェイン・カウンティに変えている。しかし、パンクが下火になるとともに世間の注目度も急降下。それでもジェインは地道に音楽活動を続けるが、かれこれ10年以上、新譜とはご無沙汰である。

 似たような話を映画で見たことはありませんか?  そう、ロックミュージカルを映画化した「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」。性転換に失敗したパンクロッカーがバンドを率いてドサ回りを続ける姿を通して、はみ出し者にエールを送った、あの傑作です。この映画を観て、真っ先に連想したのがジェイン・カウンティだった。というか、“これは絶対彼女に影響を受けているに違いない!”と思い、監督・原作・主演のジョン・キャメロン・ミッチェルへの取材の際に、その疑問をぶつけてみた。が、返ってきた答えは“ノー"。ただし映画の公開後、彼は知人を通してジェイン・カウンティを紹介されたという。ジェインは偶然にも、ミッチェルの家の近くにあるクラブでDJをしていたらしい。ともあれ、ジェインが現在でも音楽に関わっているのを知ることができたのは、大きな収穫だった。

 写真はウェイン/ジェイン・カウンティ&ザ・エレクリック・チェアーズ、1982年リリース、シングルのみで発表した曲を含むベスト盤。『TRYING TO GET ON THE RADIO』はヘドウィグ級に泣ける大名曲。

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ [DVD]

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ [DVD]