無冠の帝王

gakus2005-02-03

 アカデミー賞について調べていて、気づいたこと。作品賞にノミネートされるほどの映画となると他にも複数部門でノミネートを受けるのが常で、たとえ作品賞を逃しても他の部門で栄冠にからみそうなものである。しかし無冠で終わってしまう作品も少なくない。この10年で、作品賞を含む5部門以上にノミネートされ、なおかつ無冠に終わった映画は意外に多く、13本もあった。毎年アカデミー作品賞の栄冠に輝く作品が誕生する一方で、1年に約1本の割合で無冠の帝王も生まれるのである。

 中には、これが無冠?と思わせる作品もある。「ショーシャンクの空に」「シン・レッド・ライン」「シックス・センス」あたりは、アカデミー賞でこそ認められなかったが、今となってはファンの支持の強さで抜けている方ではないかと思う。時代を経てみないとわからない、その作品の価値というものもあるわけです。

 この10年で、無冠の最多ノミネート作品は「ギャング・オブ・ニューヨーク」で10部門。今年は同じ監督・主演コンビの「アビエイター」が11部門と、今回の最多ノミネートで本命視されているが、どこまで受賞できるだろうか。ちなみに、過去には「カラー・パープル」「愛と喝采の日々」が11部門で無冠という豪快な空振り記録を打ち立てている。

 一方で、昨年の「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」が11部門ノミネートですべて受賞。つくづく凄かったんだなあと思う。

 ジャケは「ギャング・オブ・ニューヨーク」のエンディングテーマ『THE HANDS THAT BUILT AMERICA』を収録したU2のベスト盤『The Best of 1990-2000』。アイルランド出身のバンドに“俺たちがアメリカを作った"なんて歌わせるな!という批判もあったが、アメリカでの活動に重きを置くようになってから10年以上を経過したU2だから、映画の主人公のような移民的感覚が、この曲に表れたというのが正しいのではないだろうか。ちなみにこの曲、主題歌賞のノミネート対象でした。