唯一無二の奇人

gakus2005-03-24

 今は亡き奇人アーティスト、クラウス・ノミのドキュメンタリー「ノミ・ソング」(6月公開)を観る。

 ドイツからNYへ移住し、アンダーグランドのアートシーンで頭角を現わし、異星人であることを自称。一度観たら忘れられない強烈なビジュアルで脚光を浴び、アングラシーンのスターとなるも、エイズで世を去る。映画は、そんなノミがたどったアーティストとしての道のりをとらえている。

 関係者がさまざまな証言を寄せるものの、口をそろえて言うのは、とにかく“奇人だった”ということ。彼を撮ったフォトグラファーは、“人間以外の何かをカメラに収めたような”と語り、バンド仲間は“(彼がメジャー・デビューして)音楽性が変わった、ノミの個性を除いて”と言う。もう、これだけでトンでもない人なんだな、という人がわかる。とはいえ、百聞は一見にしかず。現存する映像からは、パントマイムともロックとも違う、何ともいえず奇妙な、不動にして唯一無二の個性が見えてくるに違いない。

 面白いのは、ノミがどういう人間だったのか、我々が理解しうるレベルではまったく伝わってこないこと。これは映画のせいではなく、もうクラウス・ノミはノミでしかありえないということの表れなのだろう。近しいはずの関係者が“奇人中の奇人”と言うからには、そうなんだ…と受け止めるしかない。また、ある関係者はこんなことも言っていた“ノミは繊細で、感情を表に出さない”と。それだけ、わかりにくい人だったのだろう。

 というわけで、1982年リリースのクラウス・ノミの1stアルバムのジャケを。これだけでも初めて観る人には衝撃的なのでは…。一度聴いたら忘れられない“のーみー、のーみー"の愛らしいフレーズも印象的、タイトルにもなった『NOMI SONG』を収録。

ノミ・ソング [DVD]

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