1978

gakus2005-06-14

 韓流ブームのおかげで、おばちゃんを当て込んだ韓国映画がドドッと日本に流入しているが、もちろん韓国映画はそんなヌルいモノばかりではない。というわけで「マルチュク青春通り」(7月公開)のお話。

 “1978年は僕にとって生涯、忘れられない年となった"というナレーションに始まる、この青春映画。荒れている男子校に転校してきた高校2年生の主人公が体験する、一年間の出来事が描かれる。恋や友情はもちろん、校内の横暴な権力と戦うために尊敬するブルース・リーの教えに従って体を鍛えてケンカを売りにいくなどの、「ビーバップ・ハイスクール」とは言わないまでも、それに近いダサさと熱さが、リアルな学園描写のなかに息づいていて好感が持てた。

 で、1978年である。この歳自分は何をしていただろう…と考えてみると、決してパンク・ブームに入れ込んでいたわけではない。なんせ小学6年生、ロックの存在さえわからなかった。知ってるバンドといえば、ゴダイゴとツイストぐらいじゃなかったかな…。

 とはいえ、この年の映画に関する記憶は今も鮮烈で、「マルチュク青春通り」の主人公と同様に、ブルース・リー最後の主演作というふれこみの「死亡遊戯」に燃えたことは覚えている。今となってはリーの代役が起用されているシーンは一目瞭然だが、当時はほとんどのシーンにブルース・リーが出演しているものと思い込んでいた…。

 1978年は、他にも「スター・ウォーズ」が日本公開され、「未知との遭遇」のUFOのデカさに唖然とし、「さらば宇宙戦艦ヤマト」のおかげでアニメ・ブームに巻き込まれ、「サタデー・ナイト・フィーバー」でディスコというものを認識した。「キタキツネ物語」がヤラセ満載の動物ドキュメンタリーと知らされて“大人は汚いなあ"と思い、「野性の証明」の薬師丸ひろ子に惚れた(笑)。映画に関しては、内容のみならずイベント性も含めて、何かと刺激的な年だったと思う。

 話を「マルチュク青春通り」に戻すが、この映画は「ドラゴン怒りの鉄拳」を上映している映画館の様子で始まり、「ドランク・モンキー/酔拳」を上映している劇場前で終わる。これだけでも、時代の空気をわかっている人が撮ったんだなあ…と感じました。

 ジャケは7インチレコード入れをあさってたら出てきた「野性の証明」のテーマ曲、町田義人が歌う『戦士の休息』。この人は確か『キタキツネ物語』の主題歌も歌っていたような気がするが、今となっては思い出せない。