NYにシンセの響き
NYのストリートを舞台にした青春ドラマ「ボム・ザ・システム」(9月公開)の話。
街中の壁という壁にスプレーで、思いのたけを刻み込む若きストリート・アーティストが主人公。違法行為である、この“落書き”に情熱を傾け、警官に絶対に捕まらないという意気込みで、夜毎街をさまようが、やがて消されては描き、描いては消される、堂々巡りの活動に嫌気を覚え、ある事件をきっかけに人生の決断を迫られる。辛口のドラマではあるが、若いエネルギーを確かに感じさせる内容で、好感が持てました。
監督のアダム・バラ・ラフは23歳で、この映画を撮った新鋭。MTV世代であることを自認する、この人は、「フラッシュダンス」をはじめシンセサイザー主体の音楽で一時代を築いたジョルジオ・モロダーを映画音楽家として尊敬しているという。なるほど、このスコアもシンセ中心で、80'sの雰囲気がある。グラフティ・アートというとヒップホップカルチャーとし切り離せないので、そちらの音楽が主体になると思いきや意外に控えめ。ちなみにスコアを担当したのはEL-Pなるグループだが、ハイフンがミソで、キース・エマーソンがシンセを弾いてるあの大御所グループとは、もちろん異なる。
そんなスコアにまじって、レディオヘッド/RADIOHEADの『LIKE SPINNING PLATES』が後半でビヨンビヨンと鳴り響いていた。この時期のレディオヘッドはほとんど環境音楽だし、インスト部分のみのフィーチャーだったせいもあって、スコアと並んでもまったく違和感がない。というわけで、ジャケはこの曲を収録したレディオヘッド、2001年のアルバム『AMNESIAC』。
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