gakus2005-07-19


 昨日の「デモンズ」について書いたので、勢いついでにその続編「デモンズ2」を。

 前作から一年後の1986年に製作された、この続編は、前作の映画館から舞台をマンションに、デモンズ発生装置を映画からTVに変えただけ。密室と化した建物内で、人々が次々とゾンビもどきのデモンズに襲われ、同化していくのは一緒で、焼き直しといってもいい。が、人間がデモンズに変身するスピードに法則性がなくなり、つまりメチャクチャになって、怖けりゃなんでもいいというノリ。とはいえ、腐ってもマカロニ・ホラーで、バイオレンスだけは強烈です。

 メチャクチャといえば、音楽面でもツッコミどころあり。パーティーのシーンで、オーディオの近くにはクリストファー・クロスフィル・コリンズなど当時のビルボード売れ線モノのレコジャケが見えるが実際にかかっているのはTHE SMITHS『PANIC』、PETER MURPHY『BLUE HEART』、THE CULT『RAIN』(この曲はそのまま大殺戮シーンに重なる)などのアメリカでは売れそうもないUKインディー・チャート勢。いずれのアーティストも、この後はそこそこアメリカで成功を収めるのですが、ここではいかにも不自然。

 ただ、上記のとおり選曲に限るとマニアックで、他にもラブ&ロケッツ、フィールズ・オブ・ネフィリム、デッド・カン・ダンスなど、UKの元祖ゴス・アーティストがズラリと並ぶ。選者が趣味を出さないと、こうもきれいにまとまらないだろう。

 さらに驚かされるのは、新曲の取り込みの早さ。この映画、本国イタリアでは1986年10月にリリースされているが、ザ・スミスの『PANIC』がUKでリリースされたのは、そのわずか2か月前。PETER MURPHYに関しては記憶はあやふやだが、これも初夏〜夏ごろのリリースだったと思う。選曲者が耳にしてすぐに映画に取り入れたのは間違いない。このフットワークの軽さには脱帽。ハリウッド映画では、こうはいかないだろう。

 ジャケはPETER MURPHY、バウハウス解散後のファーストソロ・アルバム『SHOULD THE WORLD FAIL TO FALL APART』。このアルバムリリース直後、1986年9月のピーター・マーフィ来日公演は、怪しすぎるステージ・パフォーマンスゆえに今でも記憶が鮮明です。

デモンズ 2 [DVD]

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