DVも芸のうち!?

gakus2005-08-26

 今は亡き酔いどれ作家チャールズ・ブコウスキーに関するドキュメンタリー「ブコウスキー/オールド・パンク」(10月公開)は、生前の彼の姿を収めた貴重なフッテージ満載のドキュメンタリー。生い立ちに加えて、著作の創作前後の逸話も聞けるので、ファンにはたまらない内容となっています。

 ブコウスキーのファンではない自分には正直キツい部分もあったが、興味深かったのは、フッテージの中にバーベット・シュローダー監督が撮った映像が入っていたこと。そこではブコウスキーが妻とケンカをして彼女に蹴りを入れるという、ちょっとビックリの記録映像が映し出される。シュローダーは、この後ブコウスキーの原作・脚本による「バーフライ」を撮る。そこにはミッキー・ロークふんする主人公がヒロイン、フェイ・ダナウェイを蹴飛ばすシーンがあったが、シュローダーは先に撮ったドキュメントを絶対ここに生かしてるよなあ…。ちなみに、ブコウスキー本人は映画「バーフライ」を好いていないようで、ミッキー・ロークふんした主人公を“大げさ過ぎる”とバッサリ。ハリウッドでの苦い体験を生かした著作についても、この映画では語られる。あと、U2のボノがブコウスキーについて語っていたが、たいしたことは言ってなかった。

 原作者には嫌われた「バーフライ」だが個人的には好きな映画で、とりわけブッカーT&MG’sの『HIP HUG HER』のフィーチャーは忘れ難い。酔っ払いの千鳥足のようなリズム、そしてブッカーTのファンキーなオルガン。学生のころに、この映画を見たことがきっかけでMG'sにハマったんだけど、このいかがわしさやグルーヴ感は、他のどのアーティストにも出せないと思う。「ブコウスキー/オールド・パンク」の中でも、ブッカー・T風のオルガン・インスト曲が使われていた(そのシーンでは一瞬「バーフライ」のポスターが挿入される)が、これはどうやら映画のために作られたスコアらしい。

 『HIP HUG HER』のジャケは以前、一度載せたことがあるので、「バーフライ」で使われた別のナンバーのジャケを。STAXレコードのブルース王アルバート・キングの『BORN UNDER A BAD SIGN』を収録した1967年の同名アルバム。ちなみに、この曲もブッカーTの作。

ブコウスキー:オールド・パンク [DVD]

ブコウスキー:オールド・パンク [DVD]

バーフライ [DVD]

バーフライ [DVD]