久しぶりの発狂!?

　10数年前、ほとんど話題にならなかったが、「亡霊の檻」というオーストラリア映画がひっそりと日本公開された。あらゆる娯楽を奪われた刑務所を舞台に、歪んでゆく囚人たちの精神を描いた硬質のサイコ・ストーリー。観ねば！と思ったのは、刑務所映画マニアだからという理由もあるが、何より大きかったのはニック・ケイヴが出演しているから。で、観てみたら後半にちょこっと出てくるだけで、いささか物足りなかったものの、精神異常で唸ってるだけの囚人というなかなかのはまり役。ニックは脚本・音楽も手がけているので、かなりディープにこの映画に関わっていたと思われる。

　この映画の監督ジョン・ヒルコートが９年ぶりに手がけた長編映画「THE PROPOSITION」がイギリスで公開されている。もしや…と思ったら、やはりニックが脚本・音楽を手がけていた。残念ながら出演はしていないようだが、ガイ・ピアース、エミリー・ワトソン、レイ・ウィンストン、ジョン・ハートと豪・英豪華キャストで、出演者がほとんど無名だった「亡霊の檻」よりも予算をかけられた模様。オーストラリアを舞台にした西部劇調の犯罪ドラマで、例によって狂気的だとか。かなり気になっているのだが、日本公開はいつになるのでしょう…。

　ジョン・ヒルコートは実際ニック・ケイヴとの関係は深く、バースデイ・パーティ時代のプロモ・ビデオから手がけていて、ケイヴがバッド・シーズを率いた以後もPVはもちろん、ビデオ化されたライヴ映像でも監督を務めている。この人は他にもあまたのPVを演出しているが、いちばん有名なのはたぶんコレかな…と思われるELVIS COSTELLO、1989年のシングル『VERONICA』のジャケ。