セールスポイントとしてのロック

gakus2006-03-13

 「バイオハザード」の原点と呼ばれているらしいゲームを映画化したホラー・アクション「アローン・イン・ザ・ダーク」(5月公開)のお話。

 魔界と人間界のをつなぐ扉が開かれようとし、悪魔の手先らしき怪物やゾンビ軍団が人間界に押し寄せる。これに立ち向かう特殊部隊員らの死闘劇が展開…するのだが、悪魔をよみがえらせようとしている博士や、それを推進していたという某政府機関の目的がさっぱりわからず。同じくゲームの映画化「ハウス・オブ・ザ・デッド」でホラー・ファンとゲーム・ファンを敵に回した(?)ウーヴェ・ボル監督が、またまたやっちゃいました…という感じであります。

 この映画、インディーズ製作の割にはキャストも豪華で、クリスチャン・スレーター、スティーブン・ドーフ、タラ・リードという顔ぶれがそろっているが、全米興行収入では制作費も回収できないほどの惨敗を喫している。にもかかわらず、本作と連続公開されるボル監督の次作のバンパイア・ムービー「ブラッドレイン」(コレもゲームの映画化で、出来もやっぱり…)ではさらにキャストがスケールアップしており、「ターミネーター3」のクリスタナ・ロケーンの他、マイケル・マドセンベン・キングスレーミシェル・ロドリゲスウド・キアーが出演している。そして今年全米公開される新作にはジェイソン・ステイサムバート・レイノルズレイ・リオッタ、リリー・ゾビエンスキーと、さらに豪華キャストが結集しているというから驚き。どうなってんの???

 ふたつの可能性が考えられるが、ひとつは実は製作も兼ねているボル監督、意外にもハリウッドでは黒幕的な存在なのかもしれない。なんらかの弱みを握られている人たちが、しょうがなく出演した…というジミー・ウォン映画にも似たパターン。

 もうひとつは、国際的なマーケットでは意外に売れている可能性。むしろ、こちらの方が現実味がある。ゲームの知名度と、スターの出演は、海外市場では大きな強みとなる。そのうえ、漫画チックなアクションと残酷描写がバンバン映し出され、必然性のないラブ・シーンもある。銃撃戦にガンガン、ハードロックが重なるのだから、見た目の派手さというセールスポイントも万全。

 もし、このパターンで資金が順調にまわって、その結果スケールアップしているとしたら、ある意味すごいことだと思う。映画作りの才能はともかく、映画ビジネスの点ではボル監督はとんでもない天才かもしれない。

 ジャケは「アローン・イン・ザ・ダーク」の必然性のないラブシーンでフィーチャーされるNENEH CHERRY、『7 SECONDS』を収録した1996年のアルバム『MAN』。映画を観てるかどうかは知らないが、ネネ姐さんの感想が気になる…。

アローン・イン・ザ・ダーク [DVD]

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