理想のキッチン
ジョアン・アレン、ケビン・コスナーの共演による家族のドラマ「ママが泣いた日」(6月公開予定)について。
ある日突然、夫が家出。妻(ジョアン・アレン)は自分を捨てた夫への怒りを隠せず、4人の愛娘との関係もぎくしゃくするばかり。隣家の元大リーガーでラジオのディスクジョッキーをしている独身男(ケビン・コスナー)との交流によって、彼女の日常は穏やかさを取り戻していくが…。監督が「ブランクマン・フォーエバー」などのお笑い作品ばかり撮っているマイク・バインダーなので、実は相当なバカ映画かなとも思ったが、ユーモラスではあるもののいたってマジメな内容。“怒り”の感情が家族の絆に投げかける波紋を、リアルに切り取っている。ただし、一箇所だけ、この監督らしいレッドゾーンに振り切るギャグがあり、これがデビッド・クーローネンバーグの「スキャナーズ」のパロディーで大爆笑。
主演格のふたりはともかく、一家の四姉妹。これがなかなか良いキャスティングで、「ルール」のアリシア・ウィット(長女)、「M:i:Ⅲ」のケリー・ラッセル(次女)、「フライトプラン」のエリカ・クリステンセン(三女)、「サーティーン」のエヴァン・レイチェル・ウッド(四女)と、きれいどころがそろった。この4姉妹が、落ち込んで食事の支度さえしない母に代わり、キッチンで料理をしているシーンが写るが、ここに置いてあるラジカセから流れるのはザ・ヴェイルズ/THE VEILSの『LAVINIA』。このイギリスのバンドはに関しては個人的にボーカルが大好きで、しゃがれ気味で繊細な響きがいいんだけど、四姉妹がいる風景にスタイリッシュかつナチュラルに収まっていて好感が持てた。このキッチンにいてーよ…などと考えるのは自分だけではないと思う。
他に音楽ネタでは、ケビン・コスナーの車でビリー・アイドルの『REBEL YELL』が大音量で鳴っていたのが妙におかしかった。
ジャケはTHE VEILS、2003年リリースのシングル『LAVINIA』。ボーカルのフィン・アンドリュースは、XTC〜シュリークバックのバリー・アンドリュースを父に持つ血統書付のソングライター。もうじきセカンド・アルバムもリリースされるとのことです。
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