カースティ礼賛

gakus2006-04-09

 右のジャケットは今は亡き女性シンガーソングライター、カースティ・マッコール/KIRSTY MacCOllが昨春リリースした3枚組CDで究極のベスト盤『FROM CROYDON TO CUBA: AN ANTHOLOGY』。この一ヶ月ほど、頻繁に聴いたCDのひとつ。

 究極と表現したのは、1979年から2000年までのキャリアを通してカースティがリリースした全シングル・ナンバー(A面のみ)に加え、5枚のオリジナル・アルバムからのセレクト、プロモ盤のみで発表されたレア曲や未発表曲を詰め込んだスグレモノだからで、素晴らしいと断言したい内容。ハスキーで温かみのあるボーカル、懐かしさを感じさせるメロディーなど、カースティの魅力をたっぷりと味わえる。オールディーズやトラッド、フォークなどの素朴で飾らない音楽性を含む初期から、持ち味を残しつつマッドチェスターに急接近した中期、ラテンに傾倒しても不変のカースティ節を聴かせた後期と、それぞれの時期の音楽性もくっきり。もちろん、THE POGUESと共演した名曲中の名曲『FARYTALE OF NEW YORK』も収められています。

 で、さらに嬉しいことに、このアルバムにはサントラのみに収録されていた、カースティの映画への提供曲が2曲収められている。ひとつはドリュー・バリモア主演の「マッド・ラブ」で使用された『AS LONG AS YOU HOLD ME』で、映画のエンディングに使用されていたナンバーで、ビリー・ブラッグ(カースティがカバーしてイギリスでヒットさせた『NEW ENGLAND』の作者でもあります)の作。なぜアメリカで無名のはずの彼女がハリウッド映画のエンディングに?という疑問はあったが、なんでもブラッグがアントニア・バード監督と知り合いだったとのこと。とにかく、アコギの効いた泣かせるバラードです。もうひとつはボスニア紛争を題材にしたイギリス映画「ビューティフル・ピープル」で使われた『SAIL AWAY』で、こちらもバラード。こちらはじっくり聴かせるナンバーで多重録音のコーラスがドラマチック。この2曲が入っているだけでも買い、です。

 国内盤は未だリリースされいないが、熱心なファンがついている本国イギリスと、まったく無視されている日本との温度差は寂しいものがある。もっと評価されるべき人だと思うが…。

From Croydon to Cuba: An Anthology

From Croydon to Cuba: An Anthology

 なお、これと同じデザインのジャケで一枚のみのベスト盤もリリースされているので、これから購入される方はお間違えのないよう。

追記。書き足りず…というワケではないけれど、こちらにもカースティについて記しまた。
http://clheaven.exblog.jp/pg/blog.asp?dif=m&acv=2006-04-01&nid=clheaven#3773723