ちょびっとエクスタシー

gakus2006-05-01

 先週末のエントリーでふれたイギリス製犯罪劇「レイヤー・ケーキ」について。新ジェームズ・ボンド俳優ダニエル・クレイグふんする主人公はドラッグ・ディーラーで、そろそろ足を洗おうかと考えているが、この手の映画の常でそうは問屋が卸さず、セルビア武装組織から奪われたヤバいブツをさばけだの、暗黒街の大物の令嬢でヤク中の娘を探し出せだの無理難題をボスに押し付けられ、散々な目に遭う。

 小汚い下町のダイナーで、クレイグは用心棒と“どうしたもんか"と密談をするのだが、ここではAMラジオっぽいくぐもった音で、なじみのあるギターリフが聴こえる…と思ったらXTCの『MAKING PLANS FOR NIGEL』だった。映画の中でXTCを聴く機会なんぞ、めったにないからこれは嬉しいセレクト。ハリウッド映画ではありえない、イギリス映画ならではのチョイスでした。

 この後、店内の曲はDURAN DURANの『ORDINARY WORLD』に切り替わるが、直後に画面は凄まじいバイオレンスに転換。それまで曇った音で鳴っていたナンバーが、容赦ない暴力に合わせてハッキリと鳴り響く。場面の転換もスタイリッシュだが、サウンド面でのこういう工夫も巧い。

 ジャケは1979年リリース、XTCの3rdアルバム『DRUMS & WIRES』。『MAKING PLANS FOR NIGEL』には当時『がんばれナイジェル』という邦題がつけられていたが、最近のベスト盤や再発の紙ジャケCDでは原題のカタカナ表記になっているのは、ちょっと寂しい気もする。