危機感のない音

gakus2006-06-02

 2月12日のエントリーで触れた悪趣味SFホラー「SLITHER」を観たが、これが期待にたがわぬ面白さ。田舎町にエイリアンの卵のようなものが落ちてきて、人間に寄生したあげく、その体を突き破って、ヒルのような生物が無数に出現し、さらに町の人々を襲っていく。で、寄生された人々はゾンビみたいになってしまう…というB級テイスト全開のお話。トロマ出身の監督が撮っただけあり、確信犯的に盛り込まれたユーモアもチャーミングな映画でした。

 音楽の使い方はモロにギャグで、深刻な事態の一方で、町の人たちはのどかなカントリー・ミュージックに合わせて踊っていたり、太ったおばちゃんがのんきにカラオケで『CRYING GAME』を歌っていたりと、見事な脱力効果を発揮。また、最初にエイリアンに寄生されたマイケル・ルーカーふんする男は、「ザ・フライ」ばりにどんどんグロテスクに変身していくんだけど、人間だったころの妻とのセックスのBGMであるエア・サプライのロマンチックな曲をグロテスクになってからもオーディオでプレイして、おののく妻に迫るという、ブラックジョーク的爆笑描写もある。

 ジャケは、映画「クライング・ゲーム」におけるボーイ・ジョージのカバーでもおなじみ、1964年のヒット曲『CRYING GAME』を収めたDAVE BERRYのベスト盤。DAVE BERRYのこの曲はSWINGING LONDONの時代とは微妙にズレているが、なぜかMODなコンピレーションに収録されることが多い。

追記
『スリザー』の邦題で2007年12月日本公開。