マサカー三昧

gakus2006-06-11

先週のLA出張は比較的ゆったりしたスケジュールで映画もいろいろ観ることができた。6月2日のエントリーで触れた「SLITHER」以外に現地で観た映画(ホラーばかり)を、記憶が残っているうちに記しておきます。微妙にネタばれあり。

*『SEE NO EVIL』
興収成績ベストテンには入っているものの、映画館に行ったら週末なのに観客6人。映画よりも、この環境の方が怖かった。とはいえ、かなり気合の入ったスプラッターではあります。労働奉仕を命じられ、泊りがけで老朽ホテルの清掃をすることになった非行少年・少女たちが、そこで殺人鬼に遭遇して恐怖の一夜を過ごす…というお話。鉤つめで肉を引っ掛け引きずられ、吊るされ、あげく、目玉をえぐられるなど、ヒェーな残虐描写が連続。こっちでは人気があるらしいプロレスラー、KANEという方がこの殺人鬼に扮して異様な存在感を発揮するのみならず、惨殺はおろか死にっぷりまであっぱれの怪演を披露。音楽ネタはとくに特記することはありませんが、この殺人鬼の過去のトラウマと思われるフラッシュバックにかぶさった子供声のゴスペル風ソングが不気味でした。

*『THE HILLS HAVE EYES』
モリッシーも好きなウェス・クレイブン監督のカルト・ホラー「サランドラ」のリメイクで、6月1日のエントリーで触れた「ハイテンション」の監督アレクサンドル・アジャのハリウッド進出作となれば、観ないわけにはいかず。砂漠のど真ん中で立ち往生してしまった旅行中の一家を、丘に潜む殺人集団が襲撃するというオリジナル版に忠実な話で、家族内の殺される人・戦う人の人選もまったく一緒。しかし驚きがないわけではなく、殺人集団のいかついルックスの理由が核実験による奇形児の誕生と明確に理由づけられているのは新味。冒頭のクレジットでニュース映像の合間に挿入される、その写真にまずビビる。そしてアジャ監督の演出は徹底したドライ・タッチで、暑そうな砂漠を撮っていても雰囲気は寒々しい。さらに、オリジナルでは家族であることがはっきりわかった殺人鬼集団が、ここでは何人いるのかわからないままなので、神出鬼没の怖さは倍増。ある意味オリジナルを超えている。音楽については、砂漠で車がパンクした後に、標的となる一家の娘が砂漠で日光浴しながらママス&パパスの『CALIFORNIA DREAMING』を聴いていたのが印象的。この娘がノンキでいられたのは、もちろんここまで。

*『HOSTEL』
デビュー作「キャビン・フィーバー」も面白かったイーライ・ロス監督が、クエンティン・タランティーノのプロデュース下で撮り上げた2作目。バックパッカー3人組がフリーセックスを満喫できるとの噂を聞きつけて、スロバキアの町にやってくるのだが、そこで彼らを待ち受けていたのは謎の拷問集団。というわけで彼らはとんでもない目に遭う。ロス監督は尊敬する三池崇史をゲスト出演させるだけでは飽き足らず、「オーディション」「殺し屋1」「インプリント/ぼっけぇ、きょうてい」に匹敵する拷問描写でアタタ…という気分にさせる。アキレス腱切断、足の指潰し、ドリルで穴あけ、そしてチェーンソーで…うー思い出しただけで鳥肌が…それでも作品的には面白くで2度観たのですが(笑)。音楽面で面白かったのは、スロバキアの町に入った後のクラブやバーで、とたんに英語以外の曲が流れること。聴きなれない言語が乗ったダンス・ナンバーはクラウス・ノミの曲にも似てポップなんだけど、どこか不気味。あと、映画の最初の方、主人公の3人組が繰り出した娼館で、DWARVESの『MASSACRE』のインスト部分が流れるのは暗示的。もちろん、このときまだ彼らは自分たちがマサカーの対象となるとは夢にも思っていない。ジャケは、その『MASSACRE』を収めたTHE DWARVES、2004年のアルバム『THE DWARVES MUST DIE』。

追記
「SEE NO EVIL」は「シー・ノー・イーヴル/肉鉤のいけにえ」の邦題で2007年1月に日本公開。

「THE HILLS HAVE EYES」は「ヒルズ・ハブ・アイズ」の邦題で2007年9月日本公開。

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