神のみぞ写る
日本に続いてワールドカップが終わってしまう可能性もあるフランス。今夜は出場できず歯がゆい思いをしているであろう、そのチームーリーダー、ジネディーヌ・ジダンにスポットを当てた「ジダン/神が愛した男」(7月公開)のお話。
これはレアル・マドリードの一員としてピッチに立った、とある一試合のジダンの姿だけを17台のカメラで、ひたすら追い続けたユニークなドキュメンタリー。ボールの行方はそっちのけで、走るジダン、汗を流すジダン、ツバをはくジダン、悪態を突くジダン…といった具合に、本当にジダンのみ(チームメイトのベッカムやロナウドの姿は、ジダンに近づいたときのみ確認できる)の映画。ナレーションは一切なく、テロップでジダンの発言がつづられ、またハーフタイム代わりに、この試合が行なわれた日、世界で何が起きていたのかが語られたりする。これらを振り返ると、ドキュメンンタリーというよりは、むしろアート映画と呼ぶにふさわしく、“記憶をめぐる考察”みたいな雰囲気がある。この試合は、一般的には“ジダンが退場となった試合”と記憶されるのだろうが、記憶に残らないところにも人間は存在しているのだなーと、改めて思った。
この映画をアートにしている、もうひとつの要素が音楽で、グラスゴーのヒネクレ・バンド、MOGWAIがインスト・ナンバーを奏でている。当然、勇ましいフットボール・アンセム的なナンバーではなく、音響系に近い音楽。重低音やノイズが音の壁となって迫り、異様な迫力を醸し出している。
サウンドという点でいうと、スタジアムの地鳴りのような歓声や選手の声がクリアに聞こえてきて、ピッチに立っているかのような臨場感がありました。
ジャケは週明けにイギリスでリリースされるMOGWAIの最新シングル『TRAVEL IS DANGEROUS』。デザインは相変わらず、遊んでます。
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