デ・パルマのいけず

gakus2006-08-21

 ブライアン・デ・パルマの新作「ブラック・ダリア」(10月公開)は、ジェイムズ・エルロイの同名小説に基づくミステリー。小説の元ネタはハリウッドで現実に起きた有名な“ブラック・ダリア惨殺事件”で、女優志願の娘が胴体を切断され、口を引き裂かれた死体の報道写真はあまりに有名。

 ジョシュ・ハートネットアーロン・エッカートふんする刑事コンビが、この事件を追ううちに妖しい世界に入り込んでいく…という原作にほぼ忠実なストーリー。しかし、事件の鍵を握る被害者(演じるは「エキゾチカ」のミア・カーシュナー)とよく似た美女役に、ヒラリー・スワンクというのは……ハッキリ言って似てません。というか、美女か!? それなりに美しいカーシュナーも死体のビジュアルとなるとさすがにグロい。こんな具合にデ・パルマの底意地の悪い(?)演出が随所に炸裂しまくっている。

 ジョシュ・ハートネットヒラリー・スワンクと出会うのはレズビアン・バー。このシーンではK.D.ラングがタキシード姿でバンドをバックに歌っているが、しばらく見ぬ間に妙に恰幅がよくなっていて、男装の麗人と呼びたくても呼べない歯がゆさが残る。これもデ・パルマの策か!? ちなみにラングが歌っているのはコール・ポーター作の『LOVE FOR SALE』。

 コール・ポーターのカバー集『RED HOT + BLUE』でこの曲をカバーしていたつながりで、ジャケはFINE YOUNG CANNIBALS、1989年のアルバム『THE RAW & THE COOKED』をのっけてみました。そういえば、このアルバムに収録されている大ヒット曲『SHE DRIVES ME CRAZY』はユマ・サーマン主演の新作「MY SUPER EX−GIRLFRIEND」のサントラ盤にも収められているが、ちゃんと劇中で使われているのだろうか。

ブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組 [DVD]

ブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組 [DVD]