ロボット、映画に取り組む

gakus2007-02-07

 DAFT PUNKといえば、映像にこだわりのあるエレクトロニック・デュオとして知られており、松本零士とコラボレートした映像作品が有名なところだが、そんな彼らが本気で映画作りに着手。初監督作となる『ダフト・パンク エレクトロマ』が4月に日本公開されます。

 ダフト・パンクのビジュアルそのものといえるロボット2体がアメリカとおぼしき荒野を車で旅し、“人間”の姿を得るために謎めいた研究所で人間の“顔”を手に入れる。しかし、この“顔”は灼熱の太陽の下で溶け出し、街に住むロボットたちに追いかけられた彼らは、絶望を抱えて荒野をさまようことになる…。『イージー・ライダー』の終末的なロードムービーの雰囲気と、キューブリック風の映像の構図が結びついた、きわめて60〜70年代的な作品。セリフは皆無で、長回しが異様に多く、解釈を観客に委ねる作り。カチッと固まった世界観に魅せられて、ダフト・パンクのファンではない自分にもまったく飽きずに観ることができた。

 これをあくまで映画として作ったことは、ダフト・パンク自身のナンバーをまったく使用していないことからもわかると思う。ここでフィーチャーされるのは多彩な既成曲で、クラシックもあればロックもある。2体のロボットが荒野を車で飛ばすシーンではTODD RUNDGRENの『INTERNATIONAL FEEL』が聞こえてきて、砂漠のいびつな地形が車の窓から流れていくさまにフィット。CURTIS MAYFIELDのクールなレゲエ風ファンク『BILLY JACK』は、人間の顔を得たふたりが揚々と街を闊歩するシーンでのフィーチャー。エンドクレジットでは“一人になりたい"と歌うJACKSON C. FRANKのフォーク・ソング『DIALOGUE』が哀切な余韻を残す。アメリカン・ニューシネマにも似た感触が魅力。

 ジャケはCURTIS MAYFIELD、『BILLY JACK』で幕を開ける1974年のアルバム『THERE'S NO PLACE LIKE AMERICA TODAY』。アメリカ批判スタイルのこのアルバムも、ある意味ニューシネマ的。