サミュエルVSヘビ 第2ラウンド
LA出張中。お仕事終了後、本日封切りの『BLACK SNAKE MOAN』を観る。サミュエル・L・ジャクソン主演で、このタイトルだと『スネーク・フライト』を連想してしまいそうだが、もちろん続編ではありません。
サミュエルがふんするのは、老境に差しかかって妻に逃げられたマジメな農夫。そんな彼が、ある日、殴られ道に倒れていた小娘(クリスティーナ・リッチ)を助ける。この娘は幼少期の性的虐待から色情症となってしまい、軍人の恋人(ジャスティン・ティンバーレイク)が任務で彼女の元を離れて以来、誰彼かまわずやりまくっていた(彼女のムラムラの瞬間にヘビの声のような音が重なる)。それを知ったサミュエルは、彼女を鎖で拘束して監禁し、更生させようとするという、“逆『完全なる飼育』”ともいうべきモンドな話になっていく…はずなのだが、その後の展開は意外にシリアス。『ハッスル&フロウ』の監督クレイグ・ブリュワーらしい、オフビートなセンスと生真面目さが一体となった珍味的作品でありました。白髪・白髭まじりのサミュエルの老け役にも驚いたが、クリスティーナ・リッチがやたらとスリムかつセクシーでエロいビッチになりきっていることにもビックリ。
さて、サミュエルは昔はブルースマンだという設定。ここではギターを弾きながら、トラディッショナルなブルースを4、5曲みずから歌っている。キーの高い音は苦しそうだが、低い曲は渋いボーカルを聴かせる。で、そのうちの一曲がタイトルにもなった『BLACK SNAKE MOAN』。自分になついてきたクリスティーナを前にして、この曲を歌うシーンは呪術的な、いかがわしさと怪しさがとりまく、えもいわれぬ雰囲気。
そういえば、サミュエルお約束の“マザファッキン”というセリフ、今回はマジメな役だから出てこないなあ…と思っていたら、終盤でなるほどの登場。見てのお楽しみということで…。
ジャケは『BLACK SNAKE MOAN』を1927年にヒットさせ、この曲の代表的なパフォーマーとなったBLIND LEMON JEFFERSONのベスト盤。
追記
『ブラック・スネーク・モーン』の邦題で日本公開決定。
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