そこが知りた…かったんだけど

gakus2007-12-19

 米バニティ・フェア、ヴォーグ誌の表紙撮影で知られる女流写真家アニー・リーボヴィッツの仕事ぶりと人生を描いたドキュメンタリー『アニー・リーボヴィッツ/レンズの向こうの人生』が2月に公開される。

 1970年に二十歳の若さで米ローリング・ストーン誌のカバー・フォトを飾ったリーボヴィッツは、1975年のROLLING STONESの全米ツアーに同行して収めたツアー・ドキュメントで有名になる。'81年には、ジョン・レノンオノ・ヨーコの姿をカメラに収めた(コレ→)。この写真が撮られた数時間後、レノンは凶弾に倒れ、亡き人となる。

 '83年、リーボヴィッツはバニティ・フェア誌に移籍。ローリング・ストーン誌ではロック・アーティストをメインに撮影していたが、以後の被写体はセレブリティ全般に広がった。全米で大論争を呼んだデミ・ムーアの妊婦ヌードも彼女の撮影だ。そんな仕事の一方で、次第に明かされるリーボヴィッツの恋。同性愛者である彼女は最愛の人と過ごした日々を振り返るが、そこには悲しい結末が…。

 ストーンズのミックとキース、パティ・スミスシュワルツェネッガージャック・ニコルソンヒラリー・クリントン等がインタビュー・フッテージで登場する上に、キルスティン・ダンストジェイソン・シュワルツマンジョージ・クルーニーキーラ・ナイトレイ等をカメラに収める仕事風景もあるので、サブカル好きにはある種たまらないものがあるだろう。リーボヴィッツを知らなかった人にもわかりやすい作り。

 ただ、個人的にはサラッとしすぎているのが難点で、もう少し深く突っ込んでいれば面白いのに…と思わせるところが多々あった。例えば、ストーンズのツアーに同行して当然のようにヤク中になって帰ってきたとか、ローリング・ストーン誌の先輩記者だったハンター・トンプソンとの交流のおかげで、やっぱりヤク中になったとか、そういう部分がサラリと語られるだけ。バニティ・フェア誌に移籍してセレブと関わるようになってから、リーボヴィッツの性格が変わったという証言も聞かれたが、そこもツッコミが甘い。綺麗ごとだけ並べている感が強いので、映画を一本見た歯応えがない。そこが惜しいなあ…と思ったら、コレは元々米国のTVドキュメンタリーとして制作されたものでありました。

 それにしても最近、海外のTVモノを買ってきて日本でむりやり劇場公開するパターンが多い(特に音楽系ドキュメンタリー)。これって、いかがなものか…。