ボーイでごめん

gakus2008-12-01

 マイク・ミニョーラの原作コミックに惚れこんだ『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロ監督が放つ『ヘルボーイ』の続編『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(1月公開)は、あくまで個人的ではあるが、またしても傑作。ヘルボーイのキャラが本質的に変わってないのがイイ!

 前作で自然発火少女リズと結ばれた、地獄生まれの怪力男ヘルボーイは、相変わらずリズやエイブ・サピエンとともに超常現象対策に追われている。そんな折り、現世の魔界支配を企てる闇のプリンスが、封印された最強の兵団ゴールデン・アーミーを甦らせようとする。この危機にヘルボーイは立ち向かうのだが、予期せず苦戦を強いられ…。

 ヘルボーイの危機は魔界対決だけではなく、リズとの関係にも現われる。子供っぽさが抜けず、同じレコードとCD、どっちも捨てられない困ったクセを”私の物はどこに置くのよ、レコードは捨てなさい!”とリズに叱られるハイフィデリティなタチ。他人事じゃないぞ。今回はエイブも恋に落ちて、ヘルボーイとビール飲んで悩みを打ち明けあうという、笑えるのか痛いんだか微妙なシークエンスもある。

 印象的なナンバーは色々あるのだが、曲名とアーティストを把握しきれていないのが残念。ヘルボーイが鏡を覗き込んで苦悩してるシーンで流れる”BEAUTIFUL CRATURE〜”というサビの曲は切ないし、彼とエイブがビールを飲みながら聴くオールディーズも妙味。

 認識できたのは、ヘルボーイが冒頭の魔物との戦のさなか、勢いあまって窓から落下するシーン。スローモーションの落下に、なぜかTRAVIS”ALL I WANT TO DO IS ROCK"が重なる。こんなこと言ってるから、いつまでも恋愛下手なんだって。わかっちゃいるけど、ロックは止められない。

 ジャケはトラヴィスのデビュー曲"ALL I WANT TO DO IS ROCK"、1997年の再発盤シングル。