偉人になれなくて

gakus2008-12-02

 『裏切り者』のジェームズ・グレイ監督が、同作のマーク・ウォルーバーグとホアキン・フェニックスを再び起用した『アンダーカヴァー』(12月公開)はニューヨークを舞台にしたポリス・ストーリー。

 父親が警視で兄もエリート警官(マーク)という警察一家に育つも、ロシアン・マフィアとつながるナイトクラブのマネージャーというヤバい仕事をしているのがホアキン。折りしもNY市警はロシア系麻薬組織の摘発に乗り出し、全面戦争状態となって兄が撃たれ、最初は嫌がっていたホアキンも警察のオトリ捜査に手を貸す。ところが今度は父が殺され、完全に吹っ切れたホアキンは警官に志願し、仇撃ちを誓う…というお話。ロシアンマフィアという擬似家族と、お堅い本物の警察一家の間で揺れ動く、ホアキンの迷いがドラマの軸となる。グレイ監督ならではの硬派な一編。

 時代背景が1980年代なので、ホアキンのクラブではBLONDIE"HEART OF GLASS"やDAVID BOWIE"LET'S DANCE"なんかがかかっている。ニューウェーブ風選曲はいかにもニューヨーク。ホアキンと悪仲間のたまり場では、同じニューウェーブでも、もっとトッポくて、ポーカーをしているシーンではSPECIALSが聴こえてくる。たまり場でのパーティーのシーンではTHE CLASH"THE MAGNIFICENT SEVEN"に合わせて、ホアキンとヒロイン、エバ・メンデスが踊る、踊る。父や兄に比べてマグニフィカントでない、自分に対して開き直っているみたい。後半では警官になるけれど、復讐という動機自体、警官の職務とはかけ離れてるもんなあ。

 ジャケは1981年リリース、ザ・クラッシュ"THE MAGNIFICENT SEVEN"のUK盤7"。