口論エンタメ続々

gakus2009-03-12

 『レボリューショナリー・ロード』やら『ダウト/あるカトリック学校で』やら、今年の米賞レースは”口論”が緊張感を醸し出す映画が多かったが、ジョナサン・デミの久々の新作『レイチェルの結婚』(4月公開)もそのひとつ。アン・ハサウェイは本作でアカデミー主演女優賞候補にノミネート。

 主人公は、ドラッグ更生らしき施設から出てきた女の子キム(ハサウェイ)。姉レイチェルの結婚式に出席するために帰宅した彼女だったが、祝福ムードも最初だけですぐに姉との葛藤が表面化。父だけは味方するものの、離婚した母親との関係もぐらつき出す。この一家の危うい関係に陰を落としているのが、キムの弟が事故死した過去。映画が進むほど、その深い影響が明らかになる。

 映画に緊張感をあたえているのはクローズアップの多用で、『羊たちの沈黙』やNEW ORDER"PERFECT KISS"のビデオクリップなどのデミ作品を連想。ただし、こちらは手持ちカメラで、口論シーンは本当に生々しい。口論が行き過ぎて、ハサウェイが母親役のデブラ・ウィンガーにグーで殴られるシーンが強烈。この一撃を受けただけでも彼女のノミネートに納得してしまう。

 ゴタゴタしつつもクライマックスでは結婚式に突入し、レイチェルの結婚相手が誓い代わりにニール・ヤングの”UNKNOWN LEGEND"を歌う。こりゃー、彼女もメロメロだわな。そういえばデミの前作はニール・ヤングのドキュメンタリーだった。

 ジャケは1992年リリース、この曲を収めたアルバム『HARVEST MOON』。