ある意味、痛快

gakus2009-11-19

 今週末公開のローランド・エメリッヒ監督によるディザスター大作『2012』。ここではマヤ暦で予告されているという世界の終りが描かれる。

 地球の核の溶解とそれが引き起こす地震・地割れ・大津波。それを予知していた先進国首脳はアメリカ主導で対策を練り、選ばれた者たちを現代の”ノアの方舟”で生存させる、途方もない計画を実行に移す。個人的に、面白いと感じたのはその点。生存者として選ばれる40万人は各国首脳、優秀な科学者の他に、このプロジェクトに出資した金持ちたちで、その額はひとり当たり10億ユーロ(1300〜1400億円ぐらい)というから、フツーの会社のCEOではとても生き残れない。日本人は全滅に近いだろうなあ。

 しかし、本作の主人公、ジョン・キューザックふんする売れない作家はこのプロジェクトの存在を知り、愛する前妻や子供たちを生き残らせようと、とんでもない行動力を発揮する。クライマックスでは選ばれた40万人に大迷惑をかけつつ、舟への乗船を試みるのだが、この状況下では間違いなく死ぬであろ自分のような貧乏人には、ある意味痛快に思えた。

 映画の前半、キューザックは子供たちを連れてキャンプに行くが、ドライブ中の社内でカーラジオに合わせて娘と一緒に歌っているのが、THE NITTY GRITTY DIRT BANDの”WILL THE CIRCLE BE UNBROKEN"。トラディッショナルな有名曲のカバーで、”生命の環は破壊されるのか? 神よ、空の上にはより良い世界が待っているのか?"と歌われる。予言的な感じの一方で、この”CIRCLE"がキューザック一家の壊れない家族の環と思えば、クライマックスでの主人公の本気ぶりも妙に納得してしまえる。

 ジャケはTHE NITTY GRITTY DIRT BAND、1972年リリースのアルバム『WILL THE CIRCLE BE UNBROKEN』。