I GOTTA GO NOW!

gakus2009-11-20

 ドキュメンタリー界の鬼っ子マイケル・ムーアの新作『キャピタリズム マネーは踊る』(12月公開)は、タイトルどおり現代の資本主義の在り方を糾弾した快作。何が気持ちイイって、イギー・ポップの”LOUIE LOUIE”が鳴るオープニングに決まってるじゃないか!

 …というのはロック・ファンだけの見方かもしれないが、それを置いても力のこもったエンタメ映画。一般市民には意味不明な金融商品や住宅ローンの崩壊、リーマン・ショックの裏側で、ゴッソリ儲けてトンズラした少数の人間が存在する。そんな現実に怒りを表明し、ムーアならではのトボケたパフォーマンスでその回収に挑むと同時に、現実的な手段でそれに立ち向かう人々の闘争を描き出す。昨日の『2012』とはまったく違う視点ではあるが、ここにも市井の民のど根性があった。

 ”LOUIE LOUIE"に話を戻すが、この曲は1963年に大ヒットしたTHE KINGSMENのカバーで、イギーにとってはストゥージズ時代からレパートリー。オリジナルはポップなラブソングだが、イギーは歌詞を変えて歌っている。”共産主義は崩壊し、資本主義は心を引き裂く/金だけが存在意義を見出せるもの/だから俺はこの歌を歌うんだ”なんて、まさにこの映画のために書かれた歌詞のよう。本作ではデトロイトの惨状と、それに立ち向かうことを決意した立ち退き役人の姿も描かれるが、この都市はイギー&ザ・ストゥージズの拠点となっていた街でもある。

 ジャケは1993年リリース、"LOUIE LOUIE"のレコーディング・バージョンを収めたIGGY POPのアルバム『AMERICAN CAESAR』。

 おまけ イギーのLIVE版"LOUIE LOUIE"