大惨事がいっぱい

　Ｊ.Ｊ．エイブラムスが『ＬＯＳＴ』に続いて仕掛けたＴＶシリーズ『フリンジ』が面白い…というか、ある意味、凄い。

　女性ＦＢＩ捜査官が常識では説明できない怪事件を追ううちに巨大な陰謀に飲み込まれていく…という概要だけ聞くと『Ｘ−ファイル』風だが、ここで起こる事件はＵＦＯや超常現象といった類ではない。毎回、必ずといっていいほどオープニングで死体が転がり、それが墜落もしていないのに旅客機内の乗客が全員死亡する怪事件やバス内にのバイオ・テロ、エレベーター内の変死などの大惨事に発展することもあり、流血や死体描写はかなりグロく、それだけで何だか凄いゾと引き込まれてしまう。旅客機内に怪獣が出現して墜落するというプチ『クローバーフィールド』なエピソードも登場。

　一見荒唐無稽だが、それを現実味をもって描けるのがＪ．Ｊ．の巧さ。これらの事故は”フリンジ・サイエンス”（＝非主流科学）で説明され、”んなアホな”と思う間もなく、納得して見せられてしまう。アメリカではシーズン２も放映されており、視聴率の低下により打ち切りも噂されているが、打ち切られるならせめて、広げた大風呂敷はきちんとたたんで欲しいぞ。

　ジャケはTHE KILLERS"SPACEMAN"のシングル盤、2009年リリース。冒頭でこの曲がかかる第12話では、自室でインターネットをしていた高校生の脳が溶けだし、目、耳、鼻から溢れだす。キラーズを聴いていて自分が殺されたらシャレにならんわなあ。

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