もうひとつの”キンシャサの奇跡”

gakus2010-04-12

 1974年、アフリカ、コンゴの首都キンシャサで行なわれたボクシング、ヘビー級王者決定戦でモハメトッド・アリが若き王者ジョージ・フォアマンを下したのは有名な話で、ドキュメンタリー映画モハメド・アリ/かけがえのない日々』でも描かれた。このタイトルマッチに併せて、キンシャサではブラック・ウッドストックというべき音楽フェスが開催されたことも、この映画ではチラッと紹介されているが、このフェスそのものにフォーカスしたドキュメンタリー『SOUL POWER』が6月に公開となる。

 3日間に渡って行なわれたこのフェスに参加したのは、ジェームス・ブラウンを筆頭に、スピナーズやシスター・スレッジ、クルセイダーズ、B.B.キング、ビル・ウィザーズなどなど豪華な顔ぶれ。ソウルにファンク、ジャズ、ブルースがあり、なおかつ地元のアーティストも参加して、アフリカンビートもしっかりフォローするのだから、これはブラック・ミュージックの壮大なパノラマと呼んで差し支えない。これはありそうでなかったことじゃないかな。

 映画は、その準備期間から開催時のトラブル、舞台裏とステージ上のパフォーマンスをまんべんなく見せる。したがって、コンサートそのものを見たい音楽ファンの欲求に100パーセント応えるものではない。正直、JBのパフォーマンスはもっと見たかったが、しょうがないか…。

 とはいえ舞台裏には興味深い映像も多い。コンゴへ向かう機内で、ルーツをたどる旅であることを自覚しているJBが”これでやっと自分を取り戻せる”と語る。その象徴というべきかもしれないが、まだ若いシスター・スレッジの面々が屈託のない笑顔でダンスの練習に取り組んでいるのが印象的。スピナーズのメンバーも調子に乗って、アリのスパーリングの相手を務めたりする。はしゃいでるぞ、みんな。

 ジャケはJB、シングルのA・B面をたどる壮大な企画盤、『THE SINGLES』のVol.7、2009年リリース。タイトルになった"SOUL POWER"を収録。ちなみにこのシリーズは現段階では、Vol.8までがリリースされている。次はまだか!?