週末のDVD その2

gakus2010-07-19

 『アドベンチャーランドへようこそ』は、DVDスルーにしてしまうにはもったいない青春ドラマ。ロマンスも笑いもあるし、リアリティも感じられる。クリスティン・スチュアートがヒロインだから、『トワイライト』シリーズが日本でももう少し当たっていれば、状況は変わっていたかもなあ…。

 時代設定は1980年代後半で、主人公は家の事情で大学院の進学資金を絶たれ、地元のさびれた遊園地アドベンチャーランドでバイトを始めた内気な大学生(ジェシー・アイゼンバーグ)。最初は嫌々働いていた彼が、バイト仲間と交流を重ねつつ、そのひとりであるクリスティンに恋をするが、彼女には、アマチュア・ミュージシャンで時々アドベンチャーランドでもバイトしている年上の恋人(ライアン・レイノルズ)がいて…というお話。レイノルズふんするミュージシャンは、”ルー・リードと共演したことがある”と言われていて、音楽好きの主人公は恋敵のような感情の一方で、アニキ的な尊敬の念を感じていたりもする。そこら辺の複雑な感情がリアルなところ。

 人物設定がそんなだから、音楽のネタにも事欠かず、クリスティンがルー・リードやハスカー・デューのTシャツを着ていたり、その彼女に向かって主人公が”クラい曲のテープを作った”とヴェルヴェット・アンダーグランドの曲をかけたり。となれば、やはりフィーチャーされるナンバーも80年代のカレッジチャート・フリークが追いかけそうな曲が多く、ジザメリの”TASTE OF CINDY"(アコースティック・バージョン!)がクリスティンとレイノルズのラブシーンで聴こえてくるわ、マリファナクッキーでラリッった主人公とクリスティンが楽しげにカートを乗り回すシーンで、キュアー”JUST LIKE HEAVEN"がドンピシャのタイミングで流れるわ。しかし、いちばん印象に残ったのはクライマックス、意を決してNYへ向かう主人公のバックで流れるリプレイスメンツ”UNSATISFIED”。このままで満足できるわけがない主人公の背中を押す格好のBGM。ちなみにエンドクレジットではインエクセス”DON'T CHANGE"が流れ、こちらも効果的。

 カレッジチャート・フリークの主人公らしく、遊園地で毎日のようにかかっているファルコの”ROCK ME AMADEUS"にイライラするのが微笑ましい。ジェシー・アイゼンバーグは、こういう神経質な童貞役が本当に巧い。

 ジャケはTHE REPLACEMENTS、”UNSATISFIED"を収めた1984年のアルバム『LET IT BE』。

アドベンチャーランドへようこそ [DVD]

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